
vol.240
TORINO2006 COUNTDOWN FILE 3
今井メロ 天才少女、決戦の地へ。
(スノーボード」・女子ハーフパイプ)
「W杯女王」を取り巻く国内外の強豪たち
18歳の超新星・今井メロが世界に挑む。強豪がそろう女子スノーボードで、彼女はどんなパフォーマンスを見せるのか。冬季五輪日本人最年少のメダルをかけた、大いなる挑戦が始まる。
円筒をちょうど2等分したようなコースを滑りながら、ジャンプ、回転などの演技を競うスノーボード・ハーフパイプ。通常のワールドカップではゲレンデのコンディションなどから若干小さい高さ約5メートル、長さが約11〜13メートル前後で行われているが、トリノ五輪では規定の高さ約6メートル、長さが約15メートルになると予想され、巨大なスーパーハーフパイプがお目見えする予定だ。
今回、数ある競技の中でもこのハーフパイプ種目は観戦チケットが早々に完売するほどの人気で、注目の高さがうかがえる。そんな中、日本代表としてトリノに臨むライダーは、男子が國母和宏(登別大谷高校)、中井孝治(チームアメリカン)、成田童夢(チームキスマーク)、村上史行(Cruise)。そして女子が山岡聡子(アネックスSBC)、中島志保(チームヨネックス)、伏見知何子(TEAM UP-SPORTS)、そして今井メロ(ロシニョール・ディナスタースキークラブ)の計8名。中でも成田童夢と今井メロの2人は、メディアの注目度も高い兄妹ライダーだ。
メロは子供のころ、上村愛子(北野建設スキークラブ)や里谷多英(フジテレビ)などで知られるフリースタイルスキー・モーグルの世界でキッズモーグラーとして兄・童夢と共に注目された。そして7歳の時、兄と共にスノーボードに転向。その3年後には長野五輪で初エントリーとなるハーフパイプ種目の前走も務めている。さらに国内の大会でも大人に交じって戦いながら何度も表彰台に立つなど、幼少期から高さやテクニックともに大人顔負けの滑りで活躍した。
そんな彼女が8年後の今年、トリノ五輪の日本代表としてメダル獲得の期待を集めている。昨季W杯では種目別総合優勝を果たし、早々とトリノ行きを内定。一見すれば、“メダル確実”とも受けとれてしまうが、メダルへの道はそう簡単ではない。
強敵となるのは、W杯にはほとんど顔を見せていないアメリカ勢だ。中でもソルトレイク五輪の覇者、ケリー・クラークは高さや持ち技の数、テクニックなど、すべてにおいて頭ひとつ抜けた存在。総合力でも男子並みの実力を持つともいわれており、もし彼女が男子の部に出場したとしてもファイナルに残るのでは?と噂されるほどである。
そんな金メダル候補の筆頭であるクラークに加え、同じアメリカチームの新鋭ハンナ・テーターも気になる存在だ。実力に若さも兼ね備えたテーターは、現在ノリに乗っている選手のひとり。さらにソルトレーク五輪で2位となったフランスのビダル・ドリアンも安定した滑りと完成度の高い技を持っており、メダル候補に名を連ねている。
国内では、持ち技の多い山岡聡子もメダルが有力視されている。国内外に、ライバルは多数。しかしメロにも、もちろん快挙達成の可能性は残されている。彼女には「メロウ720」という難易度の高いオリジナルトリックがあり、さらに持ち技を増やすため現在新技にも挑戦していると聞く。
先日の会見では練習用、予選用、決勝用と3パターンのウェアを用意していることを明かし、メダル獲得への意欲は十分のメロ。彼女がこの強豪たちの中で、どんなパフォーマンスを見せるのか楽しみだ。

(文/久保田亜矢)
男子ハーフパイプも大激戦!!
国内、海外にひしめく
有力選手を徹底CHECK
ダイナミックなエアーなら、やっぱり男子ハーフパイプ。五輪の舞台には、日本の新鋭から海外の若きカリスマまで、実力派ライダーが集結する。大激戦必至のエアーの競演で、“主役”になりそうな注目ライダーをピックアップした。
日本
ハーフパイプの男子日本代表で、最も期待度の高いライダーが現役高校生の國母和宏だ。
國母は03年、スノーボード界で最も権威ある「US OPEN」で、14歳ながら2位表彰台を獲得する快挙を達成。世界に衝撃を与えた次代のエースである。得意とするトリックは、完成の域に達した「1080」(3回転)、そして高さと芸術性を兼ね備えた「マックツイスト」(バックサイド540に縦回転を加えた3Dトリック)。162cmという小さい体から繰り出される巨大なエアーも特筆するべきものがある。今季はすでに、W杯で2勝を挙げる活躍ぶり。好調をキープしたままトリノでの“本番”を迎えることになりそうだ。
そんな國母に続くのが、今井メロの兄・成田童夢。昨年はじん帯を痛めるケガに苦しんだものの、復帰後はブランクを感じさせない滑りを見せ、W杯でも上位を獲得。トリノではメイクできればメダル間違いナシの「1080」3連続にもチャレンジすると公言しており、持ち前の勢いを全開させて「ブッ飛ぶ」ことができるか注目したい。
そのほかの日本勢も、ソルトレーク五輪5位で“幻のメダル”の雪辱を虎視眈々と狙う中井孝治、そして世界トップクラスの高いエアーを武器にする村上史行と、上位に食い込める実力を持っている。
海外
海外の選手では、スノーボード好きならおなじみのショーン・ホワイト(アメリカ)が金メダルの最有力候補として挙げられる。
ローティーンのころから世界中の注目を集めるホワイトは、各国のコンテストで優勝すること数え切れず。19歳にして“レジェンド”となった男は、強豪が集まったアメリカの選考レースでも5戦全勝を果たす圧巻の内容だった。メダルの行方を左右することになりそうな「1080」もミスなく、さらに連発でメイクできるという強みを持つ。難易度の高いトリック、エアーの高さ、そして安定度。すべてにおいて最高レベルを持つ「大本命」の滑りは、日本選手だけを応援している人も必見だ。
ホワイト同様に危険な存在が、05年のUS OPENを制しているダニー・キャス。彼はソルトレーク五輪で銀メダルを獲得しており、五輪の舞台でも堂々の滑りを披露してくるはず。
そんな大国・アメリカ以外にも有力ライダーがゴロゴロ存在しているところも、男子ハーフパイプのすごいところ。ホワイトに対抗できる逸材といわれるアンティ・アウティは、「1080」を平然と連発できるスピンマスター。ホワイトとの“直接対決”で勝利した実績もあり、隠れた金メダル候補として記憶していてほしい。
TORINO 2006 NEWS FLASH
日本選手団結団式でメダル上積みを宣言
日本選手団の結団式と壮行会が22日、秋篠宮さまご夫妻をお迎えして東京都港区の新高輪プリンスホテルで開かれ、フィギュアスケート女子の村主章枝(avex)副将が「メダル獲得にベストを尽くし、各国選手とともに交流を深め、世界平和に貢献するよう努力する」と決意表明。
壮行会に駆けつけた小泉純一郎首相は「持てる力を存分に発揮していただきたい」などと選手たちを激励した。
選手団は海外での冬季五輪としては過去最大の240人(うち選手113人)。世界スプリント出場のため欠席した岡崎朋美(富士急)が史上2人目の女性主将。旗手はやはり世界スプリントのため欠席のスピードスケートの加藤条治(日本電産サンキョー)で、この日はスキージャンプの岡部孝信(雪印)が旗手代行を務めた。
式典後会見した日本選手団の遅塚研一団長は「最低(メダル)5個といってきたが、もう2つ3つ上積みできるかなという印象を持っている」と語った。前回ソルトレークシティー五輪では銀1、銅1の2個に終わっていた。
世界スプリントで日本男子は“惨敗”
トリノ五輪の前哨戦となるスピードスケートの世界スプリント選手権が22日、閉幕した。男女合わせ、2日間で計4回行われた500メートルのレースで、日本勢が表彰台に上ったのは大菅小百合(日本電産サンキョー)が3位に入った一度だけ。金メダルに最も近い種目とされる男子500メートルは惨敗に近い結果となった。
清水宏保(NEC)は初日が8位、2日目が11位と低迷。今季はW杯で表彰台はおろか、1けた順位さえなく「あとは体を絞っていって、いい方向に変わってくれれば」と祈るように語る。
一方のメダル候補、加藤条治(日本電産サンキョー)も、らしくない滑りで7位と8位。しかし本人に「スピードを出した中で調整していけば、普通の状態には戻ると思う」と、慌てた様子はなかった。
五輪チケットの約4割が売れ残り
トリノ五輪の入場券販売が大苦戦だ。
開幕まで2週間余りだが地元はやや盛り上がりに欠け、入場券販売でコンピューターがたびたびシステム障害を起こしていることも、チケット購入にブレーキをかけている。
トリノ五輪組織委員会(TOROC)の19日の発表によると、入場券総数約100万枚のうち約37万枚が売れ残り。TOROCは五輪期間中のフィギュアスケートなどの練習日のチケットの販売を決定するなど、入場料収入の確保に躍起になっている。
