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vol.256
(2006.05/22-05/28)
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SHOWBIZ vol.256

INTERVIEW
34th Original NewAlbum 『A GIRL IN SUMMER』 Release!

松任谷由実

ユーミンのアルバムを聴いていると、ところどころで思いが立ち止まる瞬間がある。「あー、この気持ち、すごく分かる」「私にも似たような経験があったな…」。わき出る思いと共に一瞬のフラッシュバック。そして自分だけのスクリーンに浮かぶ映像をさらにかきたてるメロディー。ユーミンの音楽に連れられて蘇る“あの夏の日”。特定の夏ではないが、誰の心にもある“夏”が、音楽と共に広がっていく。松任谷由実の34枚目となるオリジナルニューアルバム『A GIRL IN SUMMER』は、過ぎ去っていく時のまばゆさとせつなさを描いた珠玉の短編集だ。

「哲学的になったり、笑い転げたりする思春期-。
歌作りの中では、いつも、今もそこにいたい自分がいる」

「今までも海の歌をずいぶん書いてきているんだけど、去年の暮れに、プロデューサーの松任谷(正隆)と、“このアルバムは海をテーマにしよう”と方針を決めた時に、今まで書いてない海の歌にしたいなと思ったんですよ。さらっと聴くと“あ、ユーミンらしいな”と思うかもしれないけど、よく考えると、今まで一度も書いてない感情だったりするんですよね。見ている視線や立ち位置は大人だけど、どんどん純粋になっていくというか」

 言葉の魔術師ユーミン。しかし、「実は作詞が一番大変」と、以前のインタビューで語っていた。ひとつの言葉にもユーミンは推敲を重ねる。そんな時、図らずもいつも戻ってしまう時代があるという。

「いつも思春期なんですけどね。まあ、更年期も大人の思春期っていうくらいだけど(笑)。14歳とか15歳とか、すっごく哲学的になって、大人より遠いことや高尚なことを考えていたかと思うと、くだらないことで笑い転げていたりね。差が激しくて、ちょっとしたことに心を動かすあの時代に留まっていたいんでしょうね。そこから抜けたらうれしいけど、そうしたらまた次の悩みが始まるというか、もっと現実的な悩みが待ってる。だから、グレーのトンネルの中にいるようでも、そこにいたい自分もいる」

 自分はなぜ生まれてきたのか、そんなことを考えながらも、好きな人に贈るプレゼントにかけるリボンの色に悩みまくってしまうような、あの時代だ。

「なんか、そういうリボンの色柄みたいなことをずーっとやってる気がする。それをずっとやってるのがアルバム作りみたいに思う時もあるかな」

 そして完成したニューアルバムが『A GIRL IN SUMMER』。ところで今回のインタビューはここからちょっと志向を変え、全12曲の中に散りばめられたユーミンならではの恋愛キーワードについて、ユーミン自身に解説をしてもらった。まずは全体を通して登場する「海」という言葉について。

Keyword 1『海』
「恋をすると誰でも必ず海に行くじゃない。海とディズニーランドね(笑)。私も幾度となく海には行ったけど、やっぱり素直になる。山だと大人な感じもあるじゃないですか。山小屋で、豪雨で、帰れないふたり、みたいなね」

Keyword 2『神様』(アルバム9曲目『Forgiveness』より)
「結局自分が神様っていう、私にとってはそういう真理。例えば『やさしさに包まれたなら』という曲の神様もそうだけど、自分のポテンシャルというか、育ち方とか、DNAとか、ずっと受け継いだ結果ここに自分がいる。その自分がよいと感じていることかな。きっとそれは崇高なものだと思うから、だから自殺とか絶対しちゃいけないんだよね」

Keyword 3『ゲート』(同ボーナストラック『Smile again』より)
「これはもう曲のタイトルがテーマだけど、ゲートという言葉で、国境とか、政治的なこととか、どうしようもない別れとか、人によっていろんなことを連想すると思う。その感情をどういうレベルで引き寄せるかは聞き手の自由だけど、作る時にすごく個に入りこむと、ある時点から一般性を帯びるっていうのは昔から気付いているのね。『悲しいほどお天気』というアルバムの中に『デスティニー』って曲があるんだけど、自分を振った男を見返してやろうと思っていたのに、たまたま出会ったこんな日に限って“安いサンダルはいてた”というフレーズがね、みんながサンダルじゃなかったとしても、共有する思いにつながったんだなとすごく思ったんですよ」

Keyword 4『手をつなぐ』(同8曲目『Escape』より)
「これは合コンの歌なんですよ(笑)。合コンで抜けるにはどうしたらいいか。やっぱり好きな人とは手をつなぎたい願望ってありますよね」

 ちなみにユーミンはご主人と手をつなぐか?「いやー、とんとないですね(笑)。よそでも無理(笑)」

Keyword 5『声』(同6曲目『Many is the time』より)
「声って、すごく重要だと思うんですよ。私はまったくといっていいほどメールをやらないんだけど、やっぱり音声じゃないと感情って分からない。だから、確かにこの曲は“声を聞かせて”っていうのがすごくポイントになってますね。声を聞いて、“誰かに似てる”と思う時もあるし、電話がかかった回数だけ、話した回数だけ引き留められる。私の好きな声ですか? 私自身は、割と低めで渋いほうがいいですね。顔の悪いプレイボーイはいても、声の悪いプレイボーイはいないっていうのが、銀座の格言なんですって。歌う声では、スティングとか、スティービー・ウィンウッドとか、少年声でかすれてる感じが好きです」

Keyword 6『ルート16』(同3曲目『哀しみのルート16』より)
「これは曲調もちょっと懐かしくて、グループサウンズとかベンチャーズみたいな雰囲気もあるんだけど、途中からプロデューサーの松任谷と調子に乗って、どんどんそういうサウンドにしていったんですよ。で、曲とサウンドが呼んでいたから、詞も60'sなものを付けたの。“16号の歌は?”ってプロデューサーがアイデアを出してくれたんだけど、私は基地の側で育ったりしたから、16号といえば米軍の物資輸送道路。福生とか、横田とか、厚木とか、座間を通って横須賀まで行くという、一貫してキッチュな感じがあるんですよ。だからこの歌は、長距離トラックと雨の中を走っていると海が見えてくるような感じかな」

 アルバムには他にも「お天気も電話一本で晴れちゃう」ような『モバイルSuica』のキャンペーンソングだった『虹の下のどしゃ降りで』や、TBS系ドラマ『夢で逢いましょう』の主題歌『ついてゆくわ』をアルバム用に全面的に書き直した曲も収録されている。

「歌って、聴き手に届いて初めて完成すると思うんですよ。このアルバムの『海に来て』という曲でいえば、“素足は引き潮に埋もれて”という歌詞が歌に乗ったところで、子どものころに砂浜に立つと、かかとから掘られていって倒れそうになるような、すくわれるような言葉に表せない感覚をなんとか出したかった。そこで自分自身も、聴いてくれた人も、潮風に包まれたらいいなって。そんなことを思い描きながら、曲を作り続けていくんでしょうね」

 照りつける太陽から、人気のない砂浜まで。うれしい時もせつない時も、ユーミンの歌はそこにある。その世界を圧倒的なライブパフォーマンスで見せるツアーが、全国をすすんでいる。



(取材・文/幸野敦子)

アルバム『A GIRL IN SUMMER』
5月24日リリース 
TOCT-25920 3000円(税込み)
Yuming's Pick Up! 初夏のおすすめファッション、ハワイテイストは不滅です!

「ツアーパンフレットの撮影で、3泊5日の強行軍でハワイ島へ行ったんだけど、やっぱりハワイっぽいものっていいですよね。友人の友人で、チャイニーズのシグゼーンというテキスタイルデザイナーがいるんだけど、その人のショップにあるアロハは、今までの発想と違うというか、土地の植物を描いて図案化したようなものですごく新鮮なんですよ。まだ日本には入ってないけど、セレクトショップに少し置いてあるかな。地元のロコの人たちにも人気があるんですよ」

YUMI MATSUTOYA THE LAST WEDNESDAY TOUR 2006 〜HERE COMES THE WAVE〜
◆追加公演決定!!◆ 7月22日(土) 大阪城ホール 開場17:00/開演18:00 7月23日(日) 大阪城ホール 開場15:00/開演16:00  7月27日(木) さいたまスーパーアリーナ 開場18:00/開演19:00
撮影/亀井重郎 ヘアメイク/山田信之介 スタイリスト/安西こずえ シフォンドレス 40950円(アロエ) 中ワンピース 21000円(アリス アンド アストリッド) 2連ネックレス 25200円(ジュンコ パリ) 問合せ:ラ トータリテ新宿ルミネ店 03-5339-0277


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