
vol.264
郵政4事業のトップがすべて民間に
政府は11日、来年10月の郵政民営化で発足する4事業会社の最高経営責任者(CEO)を内定した。郵便事業会社にイタリアトヨタ会長の北村憲雄氏(64)、郵便局(窓口)会社にイトーヨーカ堂執行役員の川茂夫氏(59)、郵便貯金銀行に三菱商事常任顧問の古川洽次氏(68)、郵便保険会社には東京海上日動システムズ社長の進藤丈介氏(61)をそれぞれ充てた。各事業会社を統括する日本郵政社長には前三井住友銀行頭取の西川善文氏(67)が就任しており、月末に発表される民営化後の事業計画に基づいて民営会社への移行を進める。
「難しい人事だった」
この日の記者会見で、本音を漏らすことが少ない竹中平蔵総務相がこう語ったように、竹中総務相主導の人選は各業界の反発にあって迷走。各事業分野を未経験のトップもいる。
日本郵政の社外取締役である奥田碩氏(前日本経団連会長)ら財界人の推薦で決まった人事であり、実務力には一定の期待もあるが、会見で竹中総務相から「一致団結してやっていってほしい」と期待を示された西川社長にしても、郵便や流通業は未体験ゾーンだ。
こうした中で当面、最激戦地で指揮を執ることになりそうなのが郵便事業を任されたトヨタ出身の北村氏だ。
電子メールや携帯電話に押されて縮小の一途をたどる郵便事業は、債務超過額が5000億円を超え、今年度見通しも赤字だ。今後、都市部での新規参入の可能性も高まっており、「値下げ圧力で年間1800億円の減収となりかねない」(日本郵政公社の生田正治総裁)とあって、他事業者と自由競争を戦える状況にはない。
小包は成長に転じ、窓口会社のトップにイトーヨーカ堂から川氏を迎え入れることで、コンビニエンスストア大手のセブン−イレブンとの提携も期待できる。
しかし、増収策の柱と期待された国際物流は、オランダの大手、TNTとの業務提携が白紙となったばかりで、民営化後の大きな課題として残った。
また、窓口会社は4事業の中で最も経営が難しいと目されている。窓口網の中核を担う特定郵便局は民営化反対で、新経営方針に協力を求めるうえでハードルは高い。
一方、郵貯と簡保改革には、民間企業として利益を出しつつも「民業圧迫」はしないという命題があったが、金融事業の実質的なかじ取り役となる西川社長は拡大路線を宣言。
11日の会見で、保険分野で「(進藤氏は)民営化後は第3分野を中心にやってほしい」と述べて疾病・傷害・介護保険などの新規分野への意欲を示しており、民間金融機関との軋轢(あつれき)の高まりは避けようにない。