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写真手前から、デヴィッド・マッケイブ、ボーヤン・チャウドリー、ショーン・ペイン、アビ・ハーディング、ラッセル・プリチャード(撮影・土屋季之)
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vol.267
INTERVIEW
FUJI ROCK FESTIVALを熱くした UK・リヴァプール発のライブアクト
ザ・ズートンズ
ザ・ズートンズは、ビートルズやエルヴィス・コステロ、エコー&ザ・バニーメン、ザ・ラーズなど音楽史にしっかりと名を残すミュージシャンを生みだした英国リヴァプール出身のバンドだ。ここから出てくる音楽は、どこかひねくれているにも関わらず、きれいなメロディーですっと耳に入り、ずっとハートに居座り続ける。ザ・ズートンズはその伝統を無意識に引き継ぎながら、体を動かさずにいられないグルーブあふれる音で、ライブのたびに確実にファンを増やしている。ボーカルのデヴィッド・マッケイブとベースのラッセル・プリチャードから、ザ・ズートンズの魅力を探った。
7月28日。今年のフジ・ロック・フェスティバル(以下、フジロック)の初日、エントランスを入ってすぐにあるレッドマーキーでトリを飾ったのは、ザ・ズートンズだった。ライブ前のテントには、入りきれないほどたくさんの人が集まり、バンドがステージに現れるやいなや、黄色い声や太い声、日本語ではない叫び声が響く。ロック、ファンク、ポップなどがミックスされたサウンドに合わせ、メンバーが体を前後左右に揺らすと観客はさらにエキサイト、両手を挙げて屋根を突き破るのではと心配になるほどジャンプ。やはり、彼らのライブはすごい。
「この間来日したとき、ステージに上がる前だとか、ステージを降りたあとだとか、ステージに立っているときも、泣きそうになる瞬間があったんだ。たぶん時差の関係もあると思うんだけど、エモーショナルになっちゃうんだよね。子供のころからバンドをやりたいと思っていて、今こうやって日本でライブをしてる。想像以上のことなんだ」
フジロック出演を翌日に控えた日に行われた取材。ひととおりのあいさつを終えると、インタビューは、ウェービーヘアの下からのぞき込むような目をしたデヴィッドの、意外な告白から始まった。
デビューは2002年。UKの音楽シーンは、ニューカマーが続々と現れてはスターになるという、90年代のブリットポップバブルが再び訪れたかのように華やいでいた。そんな時期に、彼らはゆっくりと時間をかけ、ライブやツアーを重ねながら、音と圧倒的なライブパフォーマンスで人気を集めてきた。デビューアルバム『誰がズートンズを殺ったのか?』は、どんなアーティストでもミリオンに届くことはまれなUKで70万枚に達し、名実ともに、トップアーティストに仲間入り。そして、今年5月に発売したアルバム『タイアド・オブ・ハンギング・アラウンド』も好調だ。
「よく『ライブのほうがいいね』って言われるんだ。思うに、いつもベストな瞬間を追い求めているからなんだと思う。バンドって、最高のポイントを探るために常になにか変えたりして、成長していくべきだと思うんだよ。そういう意味で、スタジオワークよりもライブが好き。すごくリアルで緊張感があるし、興奮する。そうすると、曲もすごい速さで成長していく。もちろん、レコーディングをしているときは、その時のベストだと思ってやっているんだけど、1年に1度か2度アルバムを聞くことがあるけど、今の自分たちは『ここまで成長した』って思うよ」(デヴィッド)
「ベストな瞬間を求めていくってそういうことなんだ。できたものに満足しないでさらにプッシュしていく。ライブはそれが聞ける」(ラッセル)
「そのためにも、今はリラックスして、自分たちのありのままの姿で、ザ・ズートンズをプレーする。それが重要だと思ってるよ。特に今、最新アルバムの音は僕ら自身であることが大切なんだ」(デヴィッド)
今年のフジロックでは、昨年のように黄色いツナギで登場することもなく、ジーンズにシャツ。紅一点のアビ嬢にいたってはシンプルなワンピースのすそをヒラヒラさせながらサックスを吹きまくった。最新でもっとも成長した彼らの音、そしてありのままの彼らに、最前列から最後列までオーディエンスは、鼓膜がビリビリするほど叫んで盛り上がった。その時点では最高のライブができたのではないだろうか。1週間経った今は違っているかもしれないけれども。
「見にきてくれる人のなかには、僕らを何度も見たことがある人もいるだろうし、初めて見る人もいる。もしかして生まれて初めて見たバンドがザ・ズートンズかもしれない。僕らがたくさんのバンドから影響を受けたように、僕らのライブから何か感じてくれることもあるかもしれない。そんなライブができたらいいね」(ラッセル)
10月には単独で再来日が決定している。さらに成長したザ・ズートンズが、間違いなく聞けそうだ。そして、最高のライブも。

(本紙・酒井紫野)