
vol.267
王子製紙が敵対的TOBを1株800円で開始
北越製紙は買収防衛策を協議
製紙業界最大手の王子製紙は2日、同6位の北越製紙の経営権取得を目的とした株式公開買い付け(TOB)を開始した。発行済み株式の50%超を目指す。王子は7月28日の北越とのトップ会談で、三菱商事を引受先とする第三者割当増資を撤回すればTOBを凍結すると提案。しかし、北越、三菱商事とも増資撤回を拒否しているため、北越の株主に対して直接判断を仰ぐとして、TOBに踏み切ることにした。
生き残りをかけて、既存の国内事業会社が同業の事業会社に敵対的TOBを仕掛けるのは初めて。
王子のTOB価格は1株800円(1日の東京市場での終値は784円)。7月23日に発表した経営統合提案では860円としていたが、三菱商事を引受先とする第三者割当増資が行われることを前提に再計算した。増資が撤回されれば860円に戻す。TOB期間は9月4日まで。王子のTOBは、現在保有している北越株3.45%と合わせて発行済み株式の過半数取得が成立条件。要する資金は約806億円。買い付け株数に上限を設けていないため、全株を取得する場合は最大約1658億円となる。最終的には、北越との経営統合を目指している。
三菱商事は、第三者割当増資について「7月21日に発表した通り、8月7日に払い込みを行う予定」とのコメントを発表した。
北越製紙は臨時取締役会を開き、三菱商事を引受先とする第三者割当増資を予定通り行うことを決めた。また、買収防衛策発動の是非を判断する独立委員会を招集、株主に向けて王子のTOBに応募しないよう呼びかける意見書を公表するなど、徹底抗戦の姿勢を鮮明にした。両社がこじれたのは、7月3日に王子のトップ2人が北越本社を訪ねて統合の提案書を手渡した際、北越側が正式提案でない「打診」と受け止めたことにあるとされる。
「カネと力で同業他社を押しつぶすような行為」(三輪正明社長)と反発した北越は、7月19日の買収防衛策導入に続き、7月21日には三菱商事を引受先とする第三者割当増資を発表した。しかし、北越は三菱商事に王子からの統合提案の事実を伝えなかったため、王子は「驚きを禁じ得ない」(篠田和久社長)と非難し、7月23日に経営統合方針の発表に至った。