今週のTOKYO HEADLINE
vol.268
(2006.08/14-08/20)
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TOKYO CULTURE vol.268

INTERVIEW
人間の体から生まれるリズム!
呼吸するのも忘れさせるタッパー

熊谷和徳

タップシューズと身一つでストーリーを語るリズムタッパー・熊谷和徳が、あの「TAPMAN」シリーズで新国立劇場の舞台に立つ。ピアニストの稲本響と映画監督の奥秀太郎と個性をぶつけあい創りあげる『TAPMAN × PIANOMAN × MOVIEMAN』に再び注目が集まっている。

原点に戻ってよりピュアにタップに向き合っていきたい

 明確なビジョンを持っている人物は誰でもオーラを放っている。もう何万回もタップを踏んだシューズを手にして、強い目線でファインダーを見つめる、タップダンサーの熊谷和徳の落ち着き払った表情。以前、熊谷と対面した時も何か熱いものを感じたことを記憶しているが、今回はさらに力強さが加わった感じだ。

「周りの状況も自分の状況もかなり変わりましたからね。同じように真剣に取り組んでいたけれど、あの時は可能性ってものが未知の段階だったので」

 2年前、熊谷はピアニストの稲本響、映像作家の奥秀太郎と組んで『TAPMAN』をアートスフィアで公演した。

「それまではクラブやストリートが活動場所だったんですけれど、劇場でタップだけの企画がついに行われた。そこから、いろいろな可能性が出てきたんです。それと同時にいろんなことをやらなければいけなくなっちゃいましたが(笑)…エンターテインメントのステージとかね。そういうのをやっていたら、今度は自分が何をやりたいのかってことが見えにくくなったときもあったんですけど、今はいろいろやってきたことがようやく1つに集約できた感覚がありますね」

 やってきたことが集約された、原点に戻れた。そんな感覚を得られたのが、この6月に青山円形劇場で行った5日間連続公演「TAPPERS RIOT」。

「オープニングがタップの群舞だったんですよ。今までだったら自分でタップを踏むところなんですけど、今回は僕のワークショップに参加しているメンバーからピックアップして踊ってもらって、そういう意味で自分にとっても演出や振り付けにチャレンジする公演になりました。自分のソロもいいものになりましたし、この公演でいろいろやったことで、これからのタップシーンや、自分の方向性が明確になった気がしているんです。今までは、自分を含めちょっとタップがうまい人たちがタップをメジャーなものにしようとそれぞれ頑張ってきましたけれど、今後はワークショップに参加してくれるようなダンサーたち1人1人が成長することでタップの地位が向上していくんだって思えたんです。そういうふうにダンサーたちが思えるように、タップダンサーが目指す場所が必要だなと思っています。つまり、ダンス・カンパニーなんだろうなと」

 バレエなら熊川哲也のKバレエ カンパニー、コンテンポラリーならば金森穣のNoizm(ノイズム)など、ダンサーが目指す場所、活躍できる場所が日本にもできて、にわかにダンスというジャンルが活気付いている。タップにもカンパニーができればさらに裾野が広がって一般的なものとして浸透していくことだろう。

 さて、熊谷だが、9月に日本のタップシーンを変えるきっかけにもなった『TAPMAN』シリーズの最新作を発表する。シリーズ第3弾で集大成となる『TAPMAN×PIANOMAN×MOVIE MAN』がそれだ。

「最初の『TAPMAN』はタップがすべてでした。第2弾の『TAPMAN×PIANOMAN』はピアノの稲本響をよりフィーチャリングした構成。で、今回は映像をやってくれている奥秀太郎にも前に出てきてもらって、3人でメインになるものになりそうです。3回目だし、3人それぞれがこの間にかなりいろんなことをこなして成長してしまっているので、楽曲もタップもさらにグレードアップしていくと思います。自分としてはより原点に戻ってピュアにタップに向き合っていきたいと思います。今回は自分1人での出演ですが、タップ・シーンだったり、タップダンサーを目指す人たちの気持ちも背負っているのは確かなことですから。6月の公演では1カ月の間、バイトや学校をキャンセルしてまでメンバーが頑張ってくれたし、無償で出演もしてくれましたからね。その恩返しは、僕自身がタップを突き進めて彼らが出て行く場面を増やしていくことだと思います。この公演でもその気持ちを大切に臨みたいですね」

 熊谷のゆっくりとした口調ながらも、力強くいい切った様に確信した。いつか彼の踏むタップ、刻むリズムを耳にしたときに誰もが「ああ、タップだね。熊谷和徳のリズムだね」と言う日が来る。そう遠くない将来に。



(本紙・酒井紫野)

TAPMAN×PIANOMAN×MOVIEMAN
【日時】9月8日(金)19時開演、9日(土)14時開演/18時開演、10日(日)15時開演【会場】新国立劇場 中劇場 【料金】S7500円、A6000円(税込・全席指定)【問い合わせ】チケットスペース 03-3234-9999 


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