
vol.268
「公約は守るべきものだと思っている」と実現へ強い決意
小泉首相の8・15参拝は…
小泉純一郎首相は9日、終戦記念日の8月15日に靖国神社を参拝するとした平成13年の自民党総裁選での公約について「公約は生きているから。守るべきものだと思っている」と述べ、15日に参拝する意向を強く示唆した。長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席のため訪問した長崎市内で、記者団の質問に答えた。首相は「いかなるものについても、みなさんも公約は守るべきものだと思っているのではないか」とも語り、国民に対する公約を果たすべきだとの考えを強調。また、「戦争責任についてどう考えるか」と問われ、「(日本は)この61年間、その反省を踏まえて平和国家としてやってきたと思う。反省を踏まえているから今日まで一度も戦争に巻き込まれることもない。現実がそれを証明しているのではないか」と述べた。
首相は就任後、毎年1回靖国神社を参拝しているが、中国、韓国などの反発などを考慮し、8月15日の参拝は避けてきた。しかし、9月に退陣を控え今年は在任中最後の8月15日となるため、公約実現への強い決意を示したものとみられる。
麻生氏は「私見」発表
麻生太郎外相は8日の記者会見で、靖国神社問題に関する私見を発表した。宗教法人の靖国神社が全国の護国神社とともに自発的に解散し、最終的に特殊法人「国立追悼施設靖国社」(仮称)に移行させることで「国家護持」の形になるよう提唱している。「靖国社」の慰霊対象は特殊法人の設置法に明記し、「A級戦犯」分祀を念頭に「国会が国民の代表として議論を尽くし、決断すべきだ」としている。麻生氏は会見で、自身の参拝について、「(個人の信条と公の立場を踏まえ)適切に判断するとずっと申し上げている」と慎重姿勢を示し、「参拝すべきである、すべきでないという話でなく、靖国神社のあり方を考えるべき時期にきている」と指摘した。
私見では、靖国が唯一の戦没者追悼施設であると指摘。戦後、宗教法人とされたことを「国家がなすべき戦死者慰霊を一宗教法人に丸投げした」と批判し、非宗教法人化による「国営化」の必要性を強調した。これにより天皇陛下や首相、外国首脳の靖国参拝が可能になるとしている。
同日夜には、都内で行われた故・橋本龍太郎元首相の内閣・自民党合同葬に韓国政府代表として参列するため訪日中の韓国の潘基文外交通商相と都内で会談。潘氏は小泉首相の靖国神社参拝を念頭に「日韓首脳会談ができないのは正常でない。早く正常化するため障害を解消することが重要だ」と述べ、次期首相は靖国参拝を控えるべきだとの考えを示唆した。麻生氏は「今後も頻繁に会い、日韓関係のため協力していきたい」と述べるにとどめ、「私見」については説明しなかったという。
また潘氏は9日午前、安倍晋三官房長官と首相官邸で約40分会談し、間接的な表現で、9月に退陣する小泉首相と「ポスト小泉」の最有力候補と目される安倍氏の参拝自粛を求めた。これに対して安倍長官は「日本としては歴史問題については常に謙虚な姿勢でなければならないと思っている」と言明。また「このような対話を通じてお互いに理解を深めていくことが重要だ。その意味で、潘氏が来日され、会談させていただくことは有意義だ」とも伝えた。安倍氏が同日午前の記者会見で明らかにした。