
vol.268
長野県知事選で田中氏敗れる
任期満了に伴う長野県知事選は6日投開票され、無所属新人で元自民党衆院議員の村井仁氏(69)が、3選を目指した無所属現職の田中康夫氏(50)を破り、初当選を果たした。2期6年弱にわたる田中県政からの脱却を訴えた村井氏が自民、公明両党の県組織から推薦を得て、幅広い層にも浸透。県政改革の継続を訴えた田中氏を振り切り、「改革の旗手」とされた田中氏の県政運営に幕を引いた。投票率は65.98%で、前回の73.78%を7.80ポイント下回った。
村井氏は連合長野や各業界団体などの支援を受け、組織型選挙を展開。「借金返済を優先して必要な公共事業を怠ってきたことで、県経済が悪化した」と田中県政を批判し、一定の公共事業の必要性を強調してきた。市町村長や県議会と対立する田中氏の姿勢に疑問を投げかけ、市町村への権限委譲による特色ある地域づくりを訴え、無党派層にも浸透。国家公安委員長を務めた経験も有権者の安心感を誘った。
一方、田中氏は選挙戦で「脱ダム」宣言を基に公共事業を抑制し、県債残高を全国で唯一、5年連続で減らした財政再建の実績や、福祉分野などに重点を置いた改革の成果をアピールしてきた。田中氏は落選が決まった後、松本市内で「信州にとどまらず、日本の未来を形づくるさまざまな提案を申し上げ、実践も行ってきた」と自らの県政を総括した。
開票から一夜明けた7日には村井氏は、田中県政の象徴ともいえるガラス張り知事室の廃止を表明。村井氏は長野市内で記者会見し、ガラス張り知事室について「ビジュアル(視覚的)だけで政策決定過程が透明だったとは思わない。あのような見せかけはしたくない」と述べ、廃止する意向を示した。「脱ダム」宣言についても「総合的に判断していかなければならない」として、専門家の意見を踏まえて見直す考えを示唆した。
一方、田中氏は、自ら立ち上げた県庁内の「表現センター」で記者会見し、今後の政治活動については具体的な明言を避けたが、「私に期待してくれる人がいるなら、またそうした場を提供していただけるだろうと思います」と意欲をのぞかせた。