
vol.268
鳥インフルでインドネシアに44人目の死者
世界保健機関(WHO)は9日、インドネシアの首都ジャカルタ郊外で7日に死亡した少年(16)ら2人が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染していたことを確認した。同国の累計死者数は44人となり、ベトナムを2人上回って世界最多となった。
もう1人の死者はジャカルタ北部出身の少女(17)で8日に鳥インフルエンザウイルスに感染した疑いで死亡、最終確認を急いでいた。同国で初めて死者が確認されたのは昨年7月。以後、わずか1年余りの間にジャワ島からスマトラ島などへ「世界最悪のペースで感染が拡大」(WHO)している。
予算不足のため、感染が疑われる鶏の処分を徹底できない同国では気温が下がり始める9月以降、感染がさらに拡大する懸念も高まっている。
最近相次いで2人の鳥インフルエンザによる死者が発生したタイでは全国の100病院に隔離病室を建設する緊急予算が8日、閣議決定された。政府は鶏肉の輸出に影響が出ることやウイルスの発見が難しくなることを避けるため、家禽類へのワクチン接種を禁止していたが、最近、中国から大量の違法ワクチンが密輸されていることが発覚。違法ワクチンの乱用により、ウイルスが変異することが心配される。
インドネシアに次いで死者が多いベトナムでは昨年12月以来、鳥の感染も報告されていない。鶏肉のほとんどが国内市場向けであるベトナムは、徹底した家禽類へのワクチン接種で当面のウイルス封じ込めに成功した。しかし近隣国での流行が国内に飛び火する恐れもあり、政府は神経をとがらせている。
今年5月に亡くなった李鍾郁(イ・ジョンウク)WHO事務局長は生前、「もはや新型インフルエンザの出現は避けられない。『もしも』ではなく時間の問題である」と指摘。アジア開発銀行(ADB)は、鳥インフルエンザが大流行した場合、アジア(日本を除く)経済に最大約3000億ドル(約35兆円)の損失をもたらすと試算する。日本政府は東南アジア諸国の対策支援のため、治療薬タミフル50万人分、マスクなど防護用品70万人分の提供を表明している。