今週のTOKYO HEADLINE
vol.270
(2006.08/28-09/03)
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写真/加藤大毅
SPORTS vol.270

TOKYO ATHLETE FILE VOL.4

冨岡鉄平
(東芝ブレイブルーパス主将)

 強烈なオフェンスを武器に、昨シーズンは三冠制覇を達成。9月1日に開幕するトップリーグで、彼らが目指すは3連覇。さまざまなスポーツチームが存在している東京の中でも、東芝ブレイブルーパスほど「強さ」を感じさせるチームは他にないだろう。そんな東芝を率いるキャプテン・冨岡鉄平は、関係者も口をそろえて「熱い男」と形容する“ラガーマンの鑑”ともいえる男。チームや自身のこと、さらには日本ラグビー界に至るまで、冨岡は真摯に語った。

「会場に足を運んで見てくれさえすれば、ラグビーの面白さを分かってもらえるはずです」

―まずは三冠を達成した日本選手権決勝のことからうかがっていきたいのですが、引き分けで両チーム優勝という結果はどう受け止めましたか?

「あの試合に関しては、守り切ったNECさんのほうが達成感はあったと思います。我々は最後まで絶対にスコアするという気持ちでプレーしていましたから、試合が終わった瞬間は『優勝』というよりも、攻め切れなかったという気持ちが大きかったです。けれども日が経つにつれて、すべてのタイトルを取ったというのはすごいことだという実感も沸いてきました」

―三冠という偉業を達成したことで、今季に向けて再始動が大変だった部分はありますか?

「やはり優勝したことがなかった昔ほどにモチベーションを上げることは、そう簡単にはできないものです。これは勝っているチームの大きな悩みであり、さらに先へ進むためのテーマだと思っています。他のチームもしっかり強化をしてきていますから、普通にやれば勝てるという感覚では、間違いなく優勝はできないでしょうね」

―それとは逆に、三冠を取ったからこそ手に入れた強みもありますよね。

「もちろんそうです。勝っているチーム、すべてのタイトルを取ったチームにしか分からないことは絶対にあります。それは慢心でも余裕でもない。三冠を取った経験は、他のチームにはない大きな財産です。どうすれば試合に勝てるかを知っている選手も多いので、もう一度チャレンジャーになって、今季にかけるという気持ちでシーズンに臨んでいきたいです」

―今季優勝すればトップリーグ3連覇になるわけですが、その手ごたえはつかんでいますか?

「まだまだ戦える状況がそろっているとは言い難いですね。練習試合ではサントリーさんやトヨタさんにも負けていますし。もちろん今シーズンも優勝する力はあると思いますが、現状維持では勝てないというのはみんな分かっています。やはり本番でミスをしたり敗れることは許されないと思っているので、この敗戦は起爆剤になりましたし、いいモチベーションをいただけたと思っています」

―勝ちが当然とされる東芝だけに、「1敗」の重みは大きいですか?

「たしかに記憶には残りますね。ただ僕に関してはエリート育ちではないですし、むしろ勝てないのが常識というチームで育ってきました。今では勝ちが当たり前になっていますが、一度もこれでいいと思ったことはない。ちょっと慢心したり気が緩んでしまったら落ちるのは早いということを、僕は一番知っているつもりです」

―開幕戦は昨シーズン1勝1敗1分けのNECが相手になります。東芝のリスタートを占ううえでも重要な一戦になりそうですが、冨岡選手にとって観客の声援はどれぐらい力になりますか?

「お客さんの“気”を感じるレベルにまでなってくると、試合が全然違いますね。自分でも信じられないプレーができたりとか、そんなに走れるわけないのに走れたりするものなんです。これはもう、ラグビーをしている選手はもっと言っていかなければいけないことだと思いますし、本当に伝えたいことですよね」

―ラグビー観戦は敷居が高いというイメージもありますが、初めて会場を訪れる人に「ここを見てほしい」というポイントなどはありますか?

「足を運んで見てもらうだけでいいです。それさえしてくれれば、ラグビーの面白さを分かってもらえるはずですから。バツベイ(東芝のNO.8)みたいなヤツが走ってきて人を飛ばす姿などを見れば、絶対に圧倒されると思います。音はするし、表情も見えるし、人が本当に集中して、息の抜けない中でボールを取り合いをする。それに勝ち負けもあるので、一喜一憂もできますし」

―冨岡選手自身のプレーで注目してほしいところはありますか?

「ボールを必死に追うところでしょうね。あとは、気持ちでラグビーをできるというのを見て感じてほしいです。僕はもともと大きい選手じゃなかったし、運動能力が高いわけでもなかった。それでもピッチに立って、このステージで戦えるということを多くの人に見てもらえればうれしいですね」



(聞き手/本紙・小池龍之)

FEELING FOR TOKYO

―社会人になられてから初めて東京へ来られたそうですが、印象に残った場所などはありますか?
「最初に1人で浅草に行ったんですよ。そこで雷門を見て、仲見世通りを歩いて、『花やしき』っていう看板を見て感動して。浅草に行って『東京に来たな』って実感しましたね」

―「東京」といえば浅草だったんですね。
「自分なんでそういうイメージだったのかよく分からないですけどね。その時は新宿駅にも行ったんですけど、どこから出ていいか分からないし、どうやったら戻れるのか分からなくて、降りずにそのまま中央線で府中に行っちゃいました(笑)。懐かしいなあ」

―それも今では慣れて。
「人間ってすごいですよねえ。まさか東京に出てくるとは思っていなかったんで、最初は少し戸惑いもありました。でも僕は東京に遊びに来たわけじゃなくて、ラグビーをしに来たので。そういう目的があったからよかったんだろうと思います」

―ラグビーの環境としてはいかがですか?
「抜群ですね。強いチームもたくさんありますし、もっと東京の人に知ってもらいたいです。ラグビーのことを」
1977年3月1日、福岡県生まれのCTB。小学校でラグビーを始め、中村三陽高、福岡工大を経て00年に東芝入り。02年度から主将を務め、昨季はチームをトップリーグ、マイクロソフト杯、日本選手権の三冠制覇に導いた。180cm、92kg。
プレゼント
東芝の三冠制覇記念手帳を3名にプレゼント!
 東芝ブレイブルーパスの魅力を「強くてダイナミックなラグビーをする中に、ち密さや計算されたプレーが融合していると思っています。東芝が目指しているのは立ってボールをつなぐ“スタンディングラグビー”なんですが、分かりやすいし見ていて楽しいと思いますよ」と語る冨岡選手。彼らの三冠制覇を記念して作られた手帳にも、快くサインをしてくれました。今回、このサイン入り手帳を本紙読者3名にプレゼント!


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