
vol.270
INTERVIEW
怪獣映画!? 家族の感動物語!? 『殺人の追憶』監督が放つ、ファン騒然の注目作!!
『グエムル-漢江の怪物-』ポン・ジュノ
“ジャンルが訳分からないから宣伝したくない”といわれました(笑)
日本でも、その完成度の高さと類を見ない面白さにより話題となった『殺人の追憶』から3年。36歳という若さにして、韓国映画界の大御所監督となったポン・ジュノが、ついにカンヌをも驚愕させた!
「カンヌでの反応は、大きく2つに分けられました。まず“いったいどこからこんな発想が出たのか”というもの。これはかなり不思議がられました(笑)。もう1つは“悲劇や喜劇、アクションというような1つのジャンルにとらわれていないのがおもしろい”ということでした」
実在の連続猟奇殺人事件を題材にした『殺人の追憶』の次に、監督が挑んだのはなんと“怪獣映画”。
「私には常に他の人がやっていないことをやろうとする傾向があるんです。それで、毎回作品が風変わりなものになってしまうのだと思います(笑)」
韓国で一番大きく、憩いの場としても親しまれている河、漢江(ハンガン)に、突如正体不明の巨大生物が現れ、人々を襲う。とはいえ、この映画には怪獣映画とも、家族映画とも、アクションともドラマとも言い切れないところがある。
「確かにその通りです。ただ、正確に言うと私の場合、いくつかのジャンルを交ぜて作るというよりも、あるジャンルからスタートするのにそのジャンルの痕跡が消えていく、という…(笑)。例えば今回のグエムルも最初はSF怪獣映画のような体裁をとっていますが、フタを開けてみるとそこには家族の物語がある。そんな中で私なりのリアリズムを求めていくわけです。私が物語を描くときには、必ず“これは本当のことだ”と思いながら書いています。実際に、漢江に怪物が出たらどうなるだろう? そう考えながらリアリズムを追求していくんです。現実のなかで、私たちは喜怒哀楽の感情を持って生きていますよね。現実を考えれば、映画のなかのリアリズムにもいろんな感情が盛り込まれていく。それが、さまざまなジャンルが融合していると感じるのだと思います」
1つのジャンルにとらわれることのない本作に苦労したのは宣伝サイド。
「実は、私は“韓国内で最も宣伝担当者から嫌われている監督”なんです(笑)。いつも、どう宣伝したらいいのか分からないものを作る、って。ある宣伝担当者は、毎回“もうポン・ジュノ監督の作品の宣伝は担当しません!”って言っていますよ(笑)」
物語の主人公はどこにでもいる庶民的な一家。それをリアルかつ親近感たっぷりに演じているのが『殺人の追憶』のソン・ガンホとパク・ヘイル、『リンダ リンダ リンダ』のぺ・ドゥナら、韓国でも演技派で知られる俳優たち。
「もし韓国に来ることがあったら、漢江に行ってみてください。彼らそっくりの人たちが、ああいう感じで売店をやっていますから(笑)。この映画を作るときに、徹底して心がけたのが、第一にグエムルの完成度を高めること。これがちゃちだと、映画全体がだめになってしまうので。そして次に、グエムルに対峙するキャラクターが生かされていること。後者のほうは、すばらしい役者たちのおかげで、うまくいったと思っています。主演のソン・ガンホさんには『殺人の追憶』の撮影が終わるころにこの企画を話したんです。怪獣映画ということで驚くだろうなと思っていたのに“へえ、怪獣が出るんだ。で、僕はどんな役?”って。大して驚いてくれませんでした(笑)。二男役のパク・ヘイルさんにいたっては“ソン・ガンホと僕とペ・ドゥナが兄弟なんて、猟奇的な一家だ”と、キャスティングのほうに驚いていたみたいです(笑)」
韓国では“ポン・ジュノ式の怪獣映画”というキャッチがついている。
「私たちは、ヒッチコックの映画というだけで、作品の雰囲気を感じ取ることができますよね。でも私の場合、まだまだそこに到達しているわけではありません。“ポン・ジュノ式の〜”というだけで、作品に期待を寄せられる…いつかそうなったらうれしいなと思います」
すでにポン・ジュノ作品ということで期待を抱いている人は日本にも多いはず。想像外のおもしろさと感動が沸き起こるポン・ジュノ映画を、まずはお試しあれ。

(本紙・秋吉布由子)
| 「日本に来ると必ず行くのが六本木の青山ブックセンターなんですよ。あそこはいいですよね、オシャレな写真集や専門書もあるし、漫画もあるし(笑)」
日本の漫画も大好きというポン・ジュノ監督。監督の絵コンテはプロの漫画家が書いた作品のようだということは、よく知られているところ。 |
『グエムル-漢江の怪物-』
監督:ポン・ジュノ 出演:ソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、ピョン・ヒボン他 角川ヘラルド映画配給/2時間/9月2日より有楽町スバル座他にてロードショー公開
http://www.guemuru.com/
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