
vol.270
熱投948球! エース斎藤4連投で駒大苫小牧・田中との投手戦に勝利
早実、27度目の甲子園で初優勝
第88回全国高校野球選手権大会は21日、甲子園球場で決勝の再試合を行い、早稲田実業(西東京)が史上2度目の3連覇を目指した駒大苫小牧(南北海道)を4−3で退け、初制覇を果たした。早実は4連投のエース斎藤佑樹が、駒大苫小牧・田中将大との2日間にわたる投げ合いを制し、球史にその名を刻んだ。
駒大苫小牧のエース田中に投じた今大会948球目は、144kmの外角ストレート。空振り三振。マウンドで高々と両手をあげる斎藤にナインが次々と駆け寄った。
創部102年目、早実は夏の甲子園出場27回目で悲願の初優勝。「先輩ができなかったことを、自分たちが成し遂げられたことが一番うれしい」と斎藤は声を震わせた。王貞治(ソフトバンク監督)、荒木大輔(西武投手コーチ)らが逃した夏の優勝旗。176cmの細身の右腕が、185cmの大型投手との戦いに勝ち、夢を実現した。
準々決勝から4連投。エース級をそろえ、継投が主流になりつつある高校野球で、数少ない“大黒柱”だった。本塁打数が大会記録の60本と大味ともとれる打撃戦が増えた今大会で、7試合を投げ失点10。緊迫した投手戦を演じ、高校野球の醍醐味をファンに届けた。
生まれは群馬県太田市。親元を離れ早実に野球留学した。生品中時代は関東大会8強入りし、県内名門校から多くの勧誘を受けたが、断った。文武両道にこだわった。
端正な顔立ちで、「クール」と評されるが、内面は違う。好きなプロ選手は闘争心をむき出しにする千葉ロッテの黒木。捕手白川は「根は強気で、気持ちを内に秘めるタイプ」と評する。昨秋の明治神宮大会で田中に投げ負けた斎藤は、ベンチでこうつぶやいた。「こんなに面白いのは初めてだ」。それからは、勝つために努力した。準々決勝で敗退した選抜ではスタミナ不足を痛感し、大会後に徹底的に走り込み、スクワットで下半身を鍛えた。
プロからの評価もうなぎ上りだ。ヤクルトの宮本賢治スカウトは「斎藤君は勝てる投手という印象で、巨人の桑田のようなタイプ。制球がいいし、直球も変化球もキレがある」と評し、頭脳派と解説した。21世紀の早実野球部に大きな礎を築いた斎藤。本当の“フィーバー”はこれから始まる。