
vol.275
機密報告書の一部を公開
米政府は26日、情報機関が4月にまとめた機密報告書「国家情報評価(NIE)」の機密指定を一部解除し、結論部分を公表した。この中で「ジハード(聖戦)」を掲げるイスラム過激主義を拡大させた「誘因」としてイラク戦争が指摘されている。11月の中間選挙を控え、ブッシュ政権には望ましい内容ではないものの、公表に踏み切ることで米軍のイラク駐留継続の必要性を訴える狙いがあるとみられる。
「国際的テロリズムの動向」と題した報告書では、米国にとって国際テロ組織アルカイダが「最大の脅威」であり続けるとの認識が記されている。さらに、イラクでの「聖戦」が新世代のテロ指導者らを生み、ジハーディスト(聖戦主義者)らの関心の的となっていると指摘。聖戦主義者運動が拡散し続けることにより、米国本土などが今まで以上の危険にさらされるとの危機感を示した。
報告書は、運動拡大を助長している要因として、イラクでの「聖戦」のほかに、西洋支配に対する恐怖感に根差した怒りやイスラム教徒が多数派を占める国々での経済・社会・政治改革の遅れなどを列挙している。
こうした運動を阻止するため、「ジハーディストが(テロに)失敗したと自覚するか、あるいは周囲からそう見なされれば、戦闘を続けたいと思う人は少なくなるだろう」と分析し、米軍がイラク駐留を継続する必要性を指摘している。
報告書の一部は24日付の米紙ニューヨーク・タイムズなどですっぱ抜かれ、2003年のイラク開戦後、「米国はより安全になった」というブッシュ政権の主張に矛盾が生じているとして民主党は批判を強めている。
ブッシュ大統領は26日の記者会見で「政治目的のために意図的に機密文書を漏らした人がいる」と非難。機密報告書をめぐって憶測が広まることを止めるため、異例の公表に踏み切ったと説明した。公表されたのは約30ページある文書の要約部分3ページ半で、政権側は結論部分はほとんど含まれているとしている。
しかし、民主党からは「ブッシュ政権が選んだ部分だけでなく、全文を公表すべきだ」(ケネディ上院議員)との要求も出ており、機密報告書をめぐる政権側と民主党の攻防はなお続きそうだ。