
vol.275
日本郵政公社とイオンが提携 宅配業界との軋轢が
日本郵政公社は25日、大手スーパー「ジャスコ」などを展開するイオンと商品配送などの分野での包括提携で合意したと発表した。今年の歳暮ギフトから、商品配送をヤマト運輸の「宅急便」から郵政公社の「ゆうパック」に切り替える。郵政公社がスーパー最大手のイオンを取り込んだことで、宅配便市場をめぐるシェア争いはさらに激しさを増してきた。
中元や歳暮をはじめとする商品の配送数は、イオングループ全体で年間約1000万個に達するが、このうち約800万個は「宅急便」を活用しており、「ゆうパック」の占める割合は約10%程度だった。だが、今回の提携で、冷凍や冷蔵配送を除いた大半の約600万個に跳ね上がることになる。
「ゆうパック」に転換することによるコスト面のメリットは、「それほど大きくはない」(イオン幹部)という。それでも「ゆうパック」を選んだのは、全国に広がる約2万4000の郵便局網に強い魅力を感じているからだ。
スーパーやコンビニ、専門店を合わせて、イオンの店舗は全国に約8500。郵便局にカタログを置くことでこれまで網羅できなかった地方の顧客を獲得できるほか、ショッピングセンターへの開局による集客効果も期待する。
一方、郵政公社が、宅配便市場の奪回に躍起となるのは、このままでは分割民営化で発足する郵便事業会社の経営が立ち行かなくなる恐れが高いためだ。平成17年度の国内通常郵便は前年度比3.5%減と減少傾向に歯止めがかからない一方で、小包は45.1%増と大幅に取扱量を増やした。電子メールや携帯電話に押され、年賀状ですら販売枚数が前年割れとなる郵便分野で唯一、小包だけが成長が見込める事業になっている。
シェア獲得に“食うか食われるか”の構えで臨む郵政公社に対し、ヤマト運輸をはじめとする民間宅配業界の反発は強い。だが、生田正治総裁は「宅配便全体の年間取扱量は30億個。1%でも3000万個という市場だ」と語り、今回の提携が市場に与える影響はわずかであることを強調する。
郵政公社は18年度末までにシェア10%確保を目標として掲げるが、17年度末のシェアは7.7%。あと半年で2.3%も増やすのは容易ではない。それだけに今後も新たな積極的提携に乗り出す可能性は高く、業界と郵政公社との軋轢(あつれき)はさらに強まりそうだ。