
vol.277
F1日本グランプリ決勝・現地REPORT
惜別の日、禅譲の時。
“ラスト鈴鹿”を制したのは新王者アロンソ!
シューマッハーはラスト17周で悪夢のリタイア
10月8日、午後2時。
気温24度、路面温度28度。天気は秋晴れ。
今回でいったんピリオドを打つ鈴鹿サーキットでのF1日本グランプリは、絶好のレースコンディションの中で決戦の火ぶたを切った。
フロントローにはポールポジションのマッサ、2位ミハエル・シューマッハーのフェラーリ勢。セカンドローはトヨタ、3列目はルノー、そして4列目はホンダ。前日に行われた予選の結果、先頭グループのスターティンググリッドは、きれいにチームごとに分かれた。
同ポイントで日本GPを迎えていたM・シューマッハーとフェルナンド・アロンソ(ルノー)の一騎打ちは、圧倒的に皇帝が優位。この場所で6度の栄冠を勝ち取っている鈴鹿マイスターは「今回を過去最高の日本GPにしたい」と、7度目の優勝へ向けて磐石の態勢でレースに臨んでいた。
スタート直後は5番手のアロンソが素早い反応でポジションを1つ上げるも、フロントローのフェラーリ勢はキッチリとワンツーを死守。3周目には早くも、M・シューマッハーが同僚のマッサをかわしてトップに立った。負けじと猛追するアロンソは、次々とトヨタ勢、そしてマッサを抜き2番手に浮上。しかしその間、2位以下との差を離していた皇帝は悠々と首位を快走していた。
レース中盤まで、両者の差は約5秒。まるでグランプリ全体が、皇帝の退位を祝福するウイニングランの様相を呈していた。
しかしレースが終盤戦に突入すると、鈴鹿の女神は顔色を一変させる。残り17周、M・シューマッハーが最後のピットストップ。前の周回でピットに入ったアロンソより0.2秒の遅れがあったものの、7.4秒でコースに飛び出す“いつも通り”の完璧なピット作業でコースへ復帰した、はずだった。
1、2コーナー、S字、逆バンク、ダンロップコーナー。皇帝は順調に難関をクリアして、デグナーカーブへ入った。しかしその時、突如としてマシンが悲鳴を上げた。白煙とともに、248F1はみるみるスピードを落としていく。久しく見ることのなかった、M・シューマッハーのエンジントラブルだった。モニターには、呆然とうなだれるフェラーリのクルーたちが大写しにされる。あまりに残酷な光景は、ひとつの時代が終わりを告げたことを端的に物語っていた。
数秒後。コース外で息を引き取る跳ね馬を横目に、アロンソのマシンが走り抜けていった。こうなると、新王者を脅かす者は誰もいない。アロンソは2位マッサを10秒以上引き離し、意気揚々とチェッカーを受けた。次のブラジルGPで8位以内に入れば、連覇達成。最高のシチュエーションで日本GPを終えたスペインの英雄は、マシン上で“鶴の舞”を披露。「今日の優勝は、なんて素晴らしい驚きだろう!」と、歓喜を爆発させた。
不本意な形で決戦に敗れたM・シューマッハーは、それでも毅然としていた。デグナーカーブから戻ると、落胆するピットクルー1人1人に慰めの言葉を投げかけた。レース後には「我々は素晴らしいチームだ。25ポイント差がついていたカナダGPから、優勝を争えるところまで来られたことを誇りに思う。今日も我々はベストを尽くし、私はエンジンが壊れるまでレースをリードしていた。しかし、これがF1だ。(ドライバーズ争いに)私は敗れた。ライバルのリタイアを願ってまでタイトルは欲しくない」と終戦を告げるコメントを残し、もう二度と走ることのない鈴鹿サーキットをあとにした。
スーパーアグリ琢磨&左近は価値あるダブル完走
スーパーアグリの日本人ドライバー2人が、“最後の鈴鹿”で奮起した。「やれることはすべてやった」と鈴木亜久里代表が語るように、現時点でチームが持つポテンシャルを出し切り、佐藤琢磨は15位、山本左近は17位。今季初となるダブル完走を果たした。
佐藤は「ラスト数周はずっと走っていたい気持ちでした」と、達成感あふれる表情でコメント。ピットイン時の停電や終盤のスピンなど、数々のトラブルを乗り越えた山本も「母国で完走という目標が達成できてうれしいです」と、初めての日本GPを振り返っていた。
| RESULT |
|
1
|
アロンソ
|
ルノー
|
10
|
ロズベルグ
|
ウィリアムズ
|
|
2
|
マッサ
|
フェラーリ
|
11
|
デ・ラ・ロサ
|
マクラーレン
|
|
3
|
フィジケラ
|
ルノー
|
12
|
バリチェロ
|
ホンダ
|
|
4
|
バトン
|
ホンダ
|
13
|
ドーンボス
|
レッドブル
|
|
5
|
ライコネン
|
マクラーレン
|
14
|
リウッツィ
|
トロ・ロッソ
|
|
6
|
トゥルーリ
|
トヨタ
|
15
|
佐藤琢磨
|
スーパーアグリ
|
|
7
|
R.シューマッハー
|
トヨタ
|
16
|
モンテイロ
|
MF1トヨタ
|
|
8
|
ハイドフェルド
|
ザウバー
|
17
|
山本左近
|
スーパーアグリ
|
|
9
|
クビサ
|
ザウバー
|
18
|
スピード
|
トロ・ロッソ
|
|
| ドライバーズポイント |
|
RANK
|
DRIVER
|
POINT
|
RANK
|
DRIVER
|
POINT
|
|
1
|
アロンソ
|
126
|
11
|
デ・ラ・ロサ
|
18
|
|
2
|
M・シューマッハー
|
116
|
12
|
トゥルーリ
|
15
|
|
3
|
マッサ
|
70
|
13
|
クルサード
|
14
|
|
4
|
フィジケラ
|
69
|
14
|
ウェーバー
|
7
|
|
5
|
ライコネン
|
61
|
14
|
ヴィルヌーブ
|
7
|
|
6
|
バトン
|
50
|
16
|
クビサ
|
6
|
|
7
|
バリチェロ
|
28
|
17
|
ロズベルグ
|
4
|
|
8
|
モントーヤ
|
26
|
18
|
クリエン
|
2
|
|
9
|
ハイドフェルド
|
23
|
19
|
リウッツィ
|
1
|
|
10
|
R・シューマッハー
|
20
|
|
|
|
|
| コンストラクターズポイント |
|
RANK
|
TEAM
|
POINT
|
RANK
|
TEAM
|
POINT
|
|
1
|
ルノー
|
195
|
6
|
トヨタ
|
35
|
|
2
|
フェラーリ
|
186
|
7
|
レッドブル
|
16
|
|
3
|
マクラーレン
|
105
|
8
|
ウィリアムズ
|
11
|
|
4
|
ホンダ
|
78
|
9
|
トロ・ロッソ
|
1
|
|
5
|
ザウバー
|
36
|
|
|
|
|