
vol.279
「大人になりきれなかった」ソフトバンクが価格競争仕掛ける
番号ポータビリティーがスタート
携帯電話会社を変更しても電話番号を継続できる「番号ポータビリティー」(番号継続制度)の実施を翌日に控えた23日、携帯電話各社は顧客獲得に向け、PR活動を展開した。
NTTドコモは23日夜、ドコモ代々木ビル(東京)の壁面に、CMキャラクターの「ドコモダケ」を照明点灯するイベントを実施。中村維夫社長が「継続的なサービス向上に努めたい」と述べた後、女優の貫地谷しほりと小雨の新宿の街頭でビラを配った。KDDI(au)も同日、俳優の速水もこみちのイベントを東京・原宿で開催し、応戦。ソフトバンクモバイルは、午後6時半から都内で孫正義社長が緊急会見し、新たな料金サービスを打ち出した。
24日朝から各地の家電量販店などでは記念イベントが行われ、携帯電話各社はそれぞれに優位性を訴え、激しく火花を散らした。一方、来店者は通常の平日より多く、関心の高さがうかがえた。
東京・秋葉原駅前の家電量販店「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」のイベントには、携帯3社の経営幹部が参加。ソフトバンクモバイルの孫正義社長は、前日夜に低価格料金を緊急発表したのを受け、「やる以上はとことん行く。いくらでも安くする」と他社を挑発した。これにNTTドコモの平田正之副社長は「料金だけでなく総合力で勝負したい」と一蹴(いっしゆう)。KDDI(au)の川井徹執行役員も「予約は手応え十分。料金値下げは動向を踏まえて判断したい」と述べるなど、いずれも価格競争を受け流した。
SBM同士の全メール無料に
ソフトバンクモバイルは23日夜、「番号ポータビリティー」開始にあわせて新料金体系を打ち出した。音声通話の定額制導入が柱。孫正義社長は「大人のソフトバンク。料金競争は行わない」と明言してきたが、会見では「大人のソフトバンクになりきれなかった」と前言を撤回。加入者に最も関心の高い料金を訴求し、一挙にシェア拡大を狙う姿勢を鮮明にした。
音声通話の定額制は、2年間の契約と月額基本料9600円のゴールドプランへの加入が条件だが、ソフトバンクの携帯電話同士の通話が基本的に無料になる。
また、26日から来年1月15日までをキャンペーン期間に設定。期間中の加入者に対して、定額制の通話基本料の大幅割引や、番号ポータビリティーの制約とされたライバル他社の割引率の引き継ぎにも対応する。
音声通話定額制は利用者が多いとつながりにくくなって難しいが、「第3世代の利用者が少ないからできた」(孫社長)と劣勢を逆手に取る。
新料金体系は携帯端末を2年契約で割賦購入するのが条件なため、既存加入者が同料金体系に移る場合も端末購入による新たな料金負担が生じると不満が噴出したが、これを踏まえて孫社長は24日、「端末を変えなくても乗り換えられる新料金プランを年内に用意する」と言明。さらに、既存の料金プランも「若干の条件はつくが長期加入者のために残したい」と説明し、既存顧客流出の防止に配慮する姿勢をみせた。
孫社長はまた、音声通話に続き、23日の発表では文字数が制限されたショートメールが対象だったが、ソフトバンクモバイル同士のすべてのメールを無料にすることも明らかにした。
ソフトバンクは、端末数の拡充や基地局増強などの“正攻法”で加入者拡大を目指していたが、ADSL(非対称デジタル加入者線)と同様の価格競争に手を染めた。