
vol.282
INTERVIEW
『暗いところで待ち合わせ』
田中麗奈×チェン・ボーリン
「田中さん、いろいろお世話になりました」 (チェン・ボーリン)
「今後もお世話を忘れないで下さい!(笑)」 (田中麗奈)
日本の人気女優、田中麗奈と台湾の注目俳優、チェン・ボーリンが、作家、乙一原作の映画『暗いところで待ち合わせ』で共演。実は2人が共演するのは、この夏に公開された台湾映画『幻遊伝』に続いて2作品目。言葉も国籍も超え、フランクな俳優仲間となった2人の対談インタビューをお届けします!
―『幻遊伝』から半月ほど後には本作の撮影に入っていたそうですが、最初からこんなに息が合っていたんですか?
田中麗奈(以下R)「うーん、でも最初のころよりも本作のほうが、コミュニケーションをきちんと取れるようになりましたね。私が中国語をボーリンに教えてもらい、ボーリンもどんどん日本語の語彙が増えていって…。どんどん会話が楽しくなっていった」
チェン・ボーリン(以下B)「そうそう」
―お互いについての印象は?
B「(田中さんは)優しい人デス」
R「うれしいな(笑)」
B「そして弱い」
R「弱い!?」
B「だって仕事のときはすごく強い感じ。普段はとても女の子っぽい」
R「あはは(笑)」
B「オカシイ?」
R「いーえ、その通り(笑)!」
B「ゴメンネ、“弱い”じゃないね。ビミョー(笑)」
そこで田中さんとボーリンさん、通訳さんとの間で“弱い”“強い”のニュアンスについて日本語と中国語で議論が発生。国の違う俳優同士がこうしてコミュニケーションをとれるとは、改めてスゴイ!
R「(ボーリンさんは)ああ…うーん、どんな人でしょうね(笑)」
B「“ああ…うーん”な人デス(笑)。ムズカシイ?」
R「無邪気な印象もあるし、大人っぽいときもあって…何かこう不思議な感じ。あと、とてもユーモアのある人です!」
―“ダメ出し”ポイントはなし?
B「僕はないけど。田中さんは言いたいことが何かあるでしょ?」
R「ないですよー。あっ、でも悪い日本語をすぐ覚えること、かな(笑)」
B「田中サンが教えるんデショ(笑)」
R「私は変な日本語を教えないよう、気をつけて言葉を使ってます(笑)」
B(突然)「欧米化」
R「?」
B「お笑いコンビが言ってる言葉?」
R「私よりよく知ってるし(笑)」
―日本語・中国語で自然に会話する2人。そんな2人が共演した本作は、盲目の女性が1人暮らす家に、殺人容疑のかかった日本人と中国人のハーフの青年が忍び込み、奇妙な共同生活が始まるという風変わりな物語。
R「あまり小説でもドラマでも見たことがない、ちょっと変わった作品。じわじわと温かくなるというか、ゆっくり気持ちが伝わってくるような映画なんです」
B「弱い立場にいる人や、引っ込み思案な人に手を差し伸べてあげたくなる映画なんです。そういうメッセージも伝わったらいいなと思う」
―盲目のヒロイン・ミチルを演じる田中さんと、気配を消してミチルの家に潜むアキヒロを演じるボーリンさん。セリフに頼れない演技は相当難しかったのでは。
R「アキヒロは本当に細やかな目の動きなどが必要で、解釈を間違えてしまったり理解が曖昧だったりしたら、物語が崩れてしまったはず。そんな1人芝居のような部分が多かったから、難しかったんじゃないかな、と思う。それに、すごく長い日本語のセリフもあったし…」
B「話もできない、動けないというのが難しかった。でも田中さんも盲目の女性という難しい演技をこなしてたよね。普通、役者は目の動きで表現したりするでしょ。でもそれが今回はできないのだから、本当に大変だったと思うよ。前作でも共演したし、これまでの作品も素晴らしいと思ったけど、今回の作品はこれまでで一番素晴らしい演技をしている気がする」
R「そんなに私の出演作を見てたんだ」
B「いろいろ見たよ。『はつ恋』も『13階段』も」
R「主演作じゃないものまで(笑)!」
B「一緒に仕事をすることになったときに見たんだ」
―てっきり、以前から田中さんの大ファンだったのかと思いました。
B「あー、そうそう。そうデス」
R「またテキトーな…(笑)。私はボーリンの出演作では『藍色夏恋』とか『情天大聖(西遊記)』が好き。特に『情天大聖』はボーリンがすごくうらやましい。私が男だったら絶対やりたかった。ちなみに私は、知り合う前に見ましたから(笑)」
B「あっ、そうなの…」
―最後に、本作の共演を終えて感じたことなど、お互いにメッセージを…。
R「ボーリンさんの持っているエネルギーや吸収力、一生懸命な姿勢を見て、自分ももっと頑張ろう、と思いました」
B「僕へのメッセージ言ってないよ」
R「あ(笑)。えーと…」
B「じゃあ僕が先に言ってもいいですか? “いろいろお世話になりました”」
R「じゃあ、私も同じで…」
B「ズルイよー」
R「えっと、じゃあ…(と、田中さんすらすらと中国語で)“これからも私のお世話を忘れないでください”(笑)」
B「ええ〜!?」
こんな名コンビの2人が魅せる、ちょっと不思議で温かくて切ない物語。言葉を超えた演技にご注目!

(本紙・秋吉布由子)