
vol.282
7〜9月期実質GDPは年率2.0%増
内閣府が14日発表した平成18年7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報は、物価変動を除く実質で前期(4〜6月期)比0.5%増(年率換算2.0%増)となり、7四半期連続のプラス成長となった。個人消費の落ち込みを企業の設備投資と外需が支える形で、成長率は市場予測を上回った。物価の影響を含めた名目GDPは実質と同じ0.5%増だが、年率換算では1.9%増となり、名目成長率が実質を下回る「名実逆転」となった。
また、速報段階で0.2%増だった前期の実質成長率は0.4%増に改められた。この結果、平成18年度に実質で2.1%成長としている政府見通しは、残り2四半期がゼロ成長でも達成される。
7〜9月期の企業の設備投資は、産業機械や精密機械の伸びから前期比2.9%増。外需は電気通信機器などの輸出が好調で、2.7%増と高い伸びとなった。一方、個人消費は0.7%減と、実質GDPがマイナス成長となった16年10〜12月期(0.7%減)以来の下げ幅となった。天候不順による国内旅行の低迷のほか、W杯の反動によるテレビなどの売れ行き減が影響した。
消費の落ち込みには一時的要因もあるが、大田弘子経済財政担当相は同日の会見で、「背景には1人当たりの賃金の伸び悩みがある」と指摘。甘利明経済産業相も「(企業には)家計と企業の所得移転の好循環をつくることに思いをはせてほしい」と、賃金引き上げの必要性に言及した。
賃金が伸び悩む背景には、「国際競争にさらされる中、できるだけ人件費を抑えたい」(エコノミスト)企業の思惑がある。好業績を反映して、今夏のボーナスは前年比1.3%増加し、今冬も同1.8%増との予測もあるが、成長を支える最大の要素は消費だけに、賃金引き上げを求める声は今後も強まりそうだ。