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11月21日、レバノンのジュマイエル産業相、ベイルート郊外で銃撃受け死亡。撮影日不明。資料写真(2006年 ロイター/Mohamed Azakir)
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vol.283
シリアとイラクが4半世紀ぶりに国交回復−そんな日に…
レバノン産業相暗殺さる
レバノンの反シリア派キリスト教勢力の有力者であるジュマイエル産業相が21日、首都ベイルートの郊外で銃撃され、搬送先の病院で死亡した。産業相はジュマイエル元大統領の息子。
産業相は、レバノン内戦中の1980年代に大統領を務めたアミン・ジュマイエル氏の息子で、政治的名家の生まれ。祖父はキリスト教マロン派右派「ファランヘ党」を創設、叔父のバシール・ジュマイエル元大統領は1982年、イスラエルと平和条約を結ぼうとして暗殺された。
現在、ハリリ元首相暗殺の国際法廷設立などをめぐり、反シリア派と親シリア派が対立する中だけに、反シリア派は直ちにシリア非難を始め、政治危機はさらに混迷を深めている。
反シリアのシニオラ首相は21日夜、テレビで演説し、「国の運命を殺人者に支配させてはならない」と語り、断固として国際法廷の設置を進める姿勢を強調した。首相は演説でシリアを名指しはしなかったものの、サアド・ハリリ氏やイスラム教ドルーズ派の頭目、ワリード・ジュンブラート氏ら反シリア与党連合側の有力指導者たちは、「国際法廷設置を妨害しようとするシリアと国内の親シリア派の仕業」(ジュンブラート氏)などと一斉に非難を始めた。
これに対して、親シリア勢力を率いるイスラム教シーア派組織ヒズボラは「レバノンの分裂を喜ぶ者の仕業」と、反シリア派からの非難に反論した。また、シリア政府も一切の関与を否定する声明を出した。
これからも暗殺は続く!?
反・親シリア両勢力の対立の最大の焦点となっているのは、ハリリ元首相暗殺をめぐる国際法廷設置の是非。国連安全保障理事会は21日、この国際特別法廷の設置案を全会一致で承認した。ただ、安保理による承認手続きの最終段階で反シリア派のジュマイエル産業相の暗殺事件が起きたために、一部理事国が「混乱を加速させる」と承認手続きの先送りを求める場面もあるなど、議論は最後までもつれた。特別法廷はレバノン国会とラフード大統領が国連案を承認すれば正式に発足するが、親シリア派のラフード大統領は国連案とは距離を置く姿勢を明確にしており、設置のめどは立っていない。
ハリリ元首相暗殺への関与が疑われているシリアは、敵視政策を強める米政府との関係打開を目指し、ムアッリム外相がイラクを訪問。21日に4半世紀ぶりにイラクとの国交を修復、イラクの治安情勢改善に向けて協力する姿勢を示したばかり。その直後に自ら疑いを向けられるような暗殺を行えば国際法廷設置の動きを早めるばかりか、せっかくの外交的な賭けが無に帰すことを十分に承知していたはずだ。レバノンの反シリア派勢力はしかし、シリアは国際法廷でハリリ元首相暗殺への関与が明らかになることを最も恐れており、手段を選ばずシニオラ政権転覆の動きを続けると見ており、「これからも暗殺は続くだろう」(ジュンブラート氏)と警戒を強める。
ブッシュ大統領は「暗殺を強く非難する」
レバノンのジュマイエル産業相が暗殺された事件で、ブッシュ米大統領は21日、東南アジア歴訪の帰途、立ち寄り先のハワイ・ホノルルで、「暗殺を強く非難する」と述べ、事件の真相究明を求める米政府の方針を表明した。反シリア派の同相が標的となったことで、米側はシリア、イラン、さらにその支援を受けた武装組織の活動活発化による中東情勢の流動化を強く警戒している。
大統領談話とは別に発表されたホワイトハウスの声明は、今回の暗殺を「レバノン不安定化の試み」と断定。シリア、イランや武装勢力の脅威と対峙(たいじ)するレバノンのシニオラ政権に対する米側の支持方針を重ねて表明した。