
vol.287
INTERVIEW
矢井田瞳
2006年、矢井田瞳は青空レコードという原点に立ち戻った。そして、新しい環境のもとで、シングル3枚、アルバム1枚をリリースし、人間味とパワーのある楽曲を詰め込んだ音楽を聞かせてくれた。彼女が振り返る今年、そして来たる年とは?
―2006年も終わり。振り返ってみて、10点満点で何点つけますか?
矢井田:10点。ちゃんと、アルバムを完成させることができたから!
―今年のスタートは3月のシングル『Go My Way』でしたね。“自分の前にひたすら続く真っ直ぐな道が見えて、その道を走り抜けたい気持ちを表現した”とか。
矢井田:2005年の秋、1カ月ほどのお休みを頂いてた時に、その「まっすぐな道」が見えたんですよね。まっすぐな道を走り抜けるといえば、私の中では、『Aメロは 4つ打ち』(笑)。
―次の『STARTLiNE』も前へ前へってタイプの曲だったし、アルバムでも「自分に自信をもって前へ進め」というメッセージを受け取りました。
矢井田:狙った訳じゃないんですが、そういうメッセージが多くなったってのは、きっと自分がそういう時期なんだと思います。あとは、今の日本の少し歪んだコミュニケーションとかを見ていて(私も含めて)、人と人が触れ合うぬくもりとか人の目を見て伝えることの難しさとか、人間として当たり前の感情を大事にしたい!って気持ちも伝えたいな、と思いました。
―それで、最新シングル『初恋』になるわけですが。これはちょっと目の奥が熱くなる曲でした。この曲は矢井田さんの初恋がモチーフに?
矢井田:実話っちゃ実話です。私の記憶って勝手で、昔の恋に関しては良い事しか覚えてません(笑)。というか、28歳にして、やっと昔の恋を綺麗な思い出に仕上げることができた感じです。初恋にはひとそれぞれエピソードがあると思いますが、私にとってはいろんな「初めて」がつまった思い出です。人を守ることとか守られるうれしさとか、ありえないくらいの嫉妬とか、今から思えば、「かわいげがあったなぁ」という感じなんです。
―かわいげ、ありましたねぇ(笑)。11月には青空レコードで初のオリジナルアルバム『IT'S A NEW DAY』をリリースしましたね。
矢井田:新たなる原点って感じです!
―そうですね、原点回帰。青空レコードに戻ったことで以前と比べると変化があったと思います。今の環境についてどのように感じてますか?
矢井田:デビューして1、2年は、レコーディング方法等、見るものすべてが 初めてで、目まぐるしい日々だった。周りに人も多かったし、今から思えば、私がギターやピアノ1本で作った楽曲をアレンジしていく上で、少しシステマティックで過剰だった部分もあると思います。その時思ったのが、「この贅沢過ぎる環境が続くわけじゃないから、ちゃんと自分が人間として音楽人として育つ環境を作らなければ...」ということでした。それでレコーディング方法やドラムやアレンジの勉強もし始めたんですけど、もちろん自分が全部やりたいって訳じゃなくて、私は信頼のおける人間と気持ち良く音楽が作れる環境を作りたかったんです、音楽について熱くぶつかり合いながら。だから、うまいミュージシャンをパズルのように組み合わせてできる音楽は、もうしないと思います。もっと『人間パワーで成り立っている音楽』がやりたいんだと思います。境目は難しいですけど、演っている自分には分かるんです。音楽にだけは嫌われないようにしなければなりません。音楽する上で、その現場にいる人は全員目線が同じであるべきだと思うんです。でも、それは私の作品であって、刻まれる音は私の責任でもある。ただ、オナニーな作品はまだ作りたくないんです。そのバランス感覚も安定してきました。エンジニアアシスタントの人が「格好良いっすね...」って言ってくれた一言で頑張れたりするし。今は、やりたいことと、やるべきことと、求められていることと、が少しずつ重なってきてくれている気が致します
―そう聞くと、3月からのツアーにも自然と期待しちゃいます。
矢井田:今回のアルバムに参加してくれたメンバーがそのまま参加してくれるので、すごく楽しみです。これまでに比べて編成をシンプルにしようと思っていて、私を含めて5人。だからアレンジとかは難しくなるだろうし、音に隙間はできるだろうけど、だからこそのダイナミクスとか人間パワーを楽しみたいと思ってます。そして、来てくれたお客さんとその日にしかできないライブを作り上げたいと思います!――2007年のヤイコに請うご期待、ってところですね。

(本紙・酒井紫野)
『IT'S A NEW DAY』
青空レコード 発売中 3000円(税込)
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