トリノ五輪とサッカーW杯にはさまれてのWBCやプロ野球の開幕は、きっと淋しいものになるんだろうなーと思っていた。 ところがどっこい、そんな心配を見事に吹き飛ばし、野球熱を再燃させたのがWBCでの優勝である。予選リーグで2度韓国に負け、審判の不可解な判定もあり、絶体絶命の状況だった。ところが、そこからの大逆転劇。ダイ・ハードな(なかなか死なない)ストーリーが、野球ファンを魅了した。 その後に開幕したプロ野球。WBCの激戦を戦い抜いた日本代表はことごとく疲労と故障に悩まされ、調子を上げてくるのに時間がかかったが、そんな中で日本中の関心と注目を一気に集めたのが新庄剛志だった。しかも、開幕早々の引退宣言。その言動に半信半疑のファンが新庄を見にスタンドを埋めたが、辞めるにはもったいないプレーでその声援にこたえた。 終わってみれば、北海道日本ハムファイターズが日本一に。札幌に移って3年目での優勝は、チームにとってはもちろん、地域密着を唱えるプロ野球界全体にとっても、極めて明るいニュースとなった。 アメリカ・メジャーリーグでは、去年の井口資仁に続き、今年もカーディナルスの田口壮が渋い活躍で世界一に貢献したが、メジャーの話題を一気にかっさらっていったのは、レッドソックスへの移籍が決まった松坂大輔だ。松坂獲得のために、総額100億円を超える資金が投入された。 のちに振り返った時に、今年2006年をもって時代が変わったという年にまちがいなくなるだろう。 野茂英雄が架けたメジャーリーグへの橋。受け入れる球団も、当初は日本の選手たちの実力をはかりかねていた。その後、佐々木主浩や長谷川滋利、イチローや松井秀喜らが渡り、着々とその評価は定着していった。そして松坂大輔をめぐる争奪戦。 WBCのMVPが史上最高額でメジャーへ渡る。日本の世界一が、メジャーへの橋をさらに大きく確かなものにしたということは、うれしくもあり皮肉なことでもある。 (青島健太)