
vol.289
This Week PICK UP
『マリー・アントワネット』
ソフィア・コッポラが描いた、歴史絵巻ではない等身大のフランス王妃
マリーのように、カラフルで危ういからこそ魅力的な小道具満載!
『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランスレーション』と続いた前2作で、アメリカを代表する女流監督の地位を獲得したソフィア・コッポラ。ある種ありがちな話をエッジの効いた手法で描き、独特のガーリーテイストで現実離れした浮遊感を漂わせる手腕はソフィアならではのもの。そのソフィアが3作目に選んだ題材が『マリー・アントワネット』。いわゆる大河ドラマを想像して見ると、「こんなもん?」と思う人もいるだろうが、それがソフィアであり、実際のマリー・アントワネットだったのだろう。
わずか14歳の超リッチな家の娘が、親の都合で結婚。世間知らずで、無知なまま妻になり、精神的にまだ子供の夫は妻に関心を持とうとしない。形だけの結婚で感じる焦燥。愛ある生活の代わりにあるのは、金と地位とゴージャスで巨大なお家。そして彼女は美しく、類まれなるファッションセンスを持っていた…とくれば、遊びまくり、浪費しまくり、お局たちから白い目で見られるのは当然のこと。その構図は大なり小なり現代でも通じる話だ。マリーの生活を彩る小道具は、ドレス、インテリア、デザート、髪形、そして映画のためにオーダーしたマノロ・ブラニクの靴など、ため息の出るゴージャスさで、さながらソフィア監修のガーリーマガジンを見ているような感覚。そしてソフィアは、その虚構の下に隠されたマリーの心に切り込んでいく。実はそれすらも「わりとあっさり」描かれた感じだが、なにしろマリーはティーンエイジャーだったのだ。『ヴァージン・スーサイズ』で最初に自殺未遂した少女が理由を問われ、「あなたは13歳じゃないからわからない」みたいなことを言うシーンがあるが、映画を見てそのことを思い出した。今作でもソフィアはそれを映像で表現した。美しく、可愛らしく、甘く、時に悲しく、茶目っ気ある反抗心を見せながら。マリーを演じたキルスティン・ダンストは、どうやらソフィアのお気に入りのようだ。同じ匂いを感じているんだろうな、きっと。
| ◆story…オーストリア皇女アントワーヌは、母マリア・テレジアの命令で、わずか14歳でフランス王太子に嫁いだ。未来の王妃マリー・アントワネットとしてヴェルサイユ宮殿に到着し、後にルイ16世となる夫との暮らしが始まるが、夫は彼女に指一本ふれようとしない。子供を望まれる重圧と若さとのギャップから、マリーはその財力で放蕩の限りを尽くす。しかしきらびやかな日々の中で孤独を感じるマリー。ついに母になり、恋をし、大人の女に変わろうとするそのころ、民衆の怒りはヴェルサイユに向けられつつあった…。
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| 監督:ソフィア・コッポラ 出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、アーシア・アルジェント他 東北新社配給/2時間3分/1月20日より日劇3他にてロードショー公開 http://www.ma-movie.jp/
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