
vol.289
ブッシュ大統領がイラク政策のミス認める
[ワシントン ロイター]ブッシュ米大統領は10日、新イラク政策を発表し、米軍約2万1500人をイラクに増派する方針などを打ち出した。大統領は、もっと早く増派を決断すべきだったと自身の判断ミスも認めた。
ブッシュ大統領は、米国民に向けたテレビ演説で「イラク情勢は、米国民にとっても、私にとっても容認できないものだ」とし「これまでに犯した誤りの責任は私にある」と述べた。
イラク問題の取り扱いをめぐる米国民の忍耐は限界に達しつつある。こうした状況下、ブッシュ大統領は、イラクにバクダッドの秩序回復を一段と強く求め、マリキ・イラク首相に「米国のコミットメントは、無期限・無制限ではない」と警告。「イラク政府が約束を履行しなければ、米国民の支持を失い、イラク国民の支持も失うだろう」と述べた。
今回発表した新政策には、11月までにイラク全18州の治安権限をイラク側に委譲する方針も盛り込まれた。
ブッシュ大統領は、新政策によって、自爆や抗争がただちになくなるわけではない、との認識を示し「これからの1年、さらなる忍耐、犠牲、決意が必要になる」と述べた。
また、イランとシリアを名指ししてテロリストがイラクと行き来するのを許していると非難。「イランとシリアからの支援の流れを阻止する」と約束した。
ライス国務長官の中東訪問を控え、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、湾岸諸国に対しては、米国のイラクでの敗北は「過激派の新たな聖地を作り、ひいては国家の存在にとって戦略的脅威となる」と考えるべき、と訴えた。
新政策で打ち出した増派の内訳はバクダッドに1万7500人、情勢不安定なアンバル州に4000人で、派兵の期限は設定されていない。
ブッシュ大統領には厳しい批判の声があがっている。
民主党のマレー上院議員は「軍幹部の警告や国民のメッセージにも関わらず、大統領は再び独自路線をとることを決めた。これは間違ったアプローチだ」と述べた。
<米国民は不安>
米国民の間では、米軍のイラク駐留に対する反対意見が圧倒的多数。与党・共和党内でも、増派に真っ向から反対ではなくても不安視する向きはおり「バクダッドへの増派には反対だ。勝利のための戦略でないからだ」(コールマン上院議員)との声がある。
ブッシュ大統領は演説で、部隊の増強は反政府勢力がいなくなった地域の治安維持のためと述べ、増派の正当化に努めた。イラク政府が崩壊すれば、米軍の駐留は長期化する、と主張。「極めて重要なこの局面でわれわれが支援を拡大し、イラク人が暴力の連鎖を断ち切るのを助ければ、撤収の時期を早められる」と述べた。
一方、イラク政府に対しては、石油収入の配分に関する法律の成立、政治的対立の解消などの公約履行を求めたが、履行期限は設定していない。
ブッシュ大統領は、新政策で打ち出した増派のための費用として56億ドル、イラクでの復興事業や雇用対策として12億ドルの予算の承認を議会に求める。