
vol.292
道路と税金の
問題について考える Part.03
昨年、新聞やテレビなどでよく目にした「道路特定財源の一般財源化」。道路利用者が支払っている税金を、年金や福祉など道路整備以外の用途に使おうというもの。昨年12月に「道路特定財源見直しに関する具体案」が閣議決定されたが、その内容は明らかに一般財源化を進めようというものだ。道路整備は本当に今のままで十分なのか、一般財源化によって我々の生活はどのような影響を受けるのかを考えてみた。
必要な道路整備ができなくなる?
道路利用者や自動車の所有者の支払った税金を道路整備以外の用途に使おうという「道路特定財源の一般財源化」。反対意見が続出し、揺れに揺れたこの問題も、昨年12月8日に「道路特定財源見直しに関する具体案」が閣議決定されたことで、一応の決着を見た。
しかしその内容は玉虫色。かいつまんで言うと、1.必要な道路整備は計画的に進める。2.現行の税率水準を維持する。3.税収の全額を道路整備にあてることを見直し、20年の国会で法改正を行う。毎年度の予算において、道路歳出を上回る税収は一般財源とする。4.国民の要望が強い高速道路料金の引き下げなどの措置を講ずる、の4点。
法改正など核心部分は先送りしつつ、確実に道路特定財源の一般財源化を推進する内容だ。高速道路料金の引き下げは歓迎したいところだが、どの程度引き下げられるかは不明。
一般財源化で大きな影響を受けそうなのは地方公共団体の道路整備。Part1でも詳しく述べたが、一般財源化に賛成する主張は、主に1.全国の道路は整備されたので役割は終わった。2.財源が確保されていると無駄な道路を作りやすい。3.特定財源は余っている、の3つ。しかしこの3の「余っている」という主張は正確ではない。公共事業予算への上限(シーリング)によって予算を低く抑えられているため、見かけ上特定財源が余っているように見えるだけなのだ。実際、地方公共団体の行う道路整備は特定財源だけではまかなえず、多額の一般財源が投入されている。
今後、一般財源化が進めば、生活や産業に本当に必要な道路整備にまで支障が生じてしまう恐れがある。
道路は本当に足りているのか
Part2で取材した兵庫県の例では都市部と非都市部の両方における道路整備の必要性が浮き彫りになった。都市部である神戸市では、道路の未整備のため慢性的な渋滞が生じ、環境悪化や交通事故多発の原因となっている。渋滞による経済的損失も見逃せない。非都市部である日本海側の地域はさらに深刻だ。豪雪や台風など災害時の避難や救援物資の輸送などの危機管理、病院や医師が不足する中、病人を一刻も早く病院へ運ぶなど、生活の安全確保のためにも道路整備は欠かせない。さらに地域経済の発展と自立のためにも、道路という交通網の確保が必要となる。
この兵庫県の都市部と非都市部の状況は、まさに東京と地方の縮図ともいえるだろう。渋滞の解消されない都市部と交通網が寸断された非都市部の現状を見れば、「全国の道路は整備されたので役割は終わった」という主張が表面的なものに過ぎないことがわかるはずだ。
国の財政赤字が1000兆円を超え、少子・高齢化が進む現状で、新たな財源を確保したいというのが、政府・与党の考え。確かに道路整備における無駄は徹底的になくすべきだが、生活の安全や経済発展に本当に必要な道路まで作らなくていいのか。長い目で見れば、日本全体の活力にまで影響する問題だ。
自動車には乗らないから関係ないと思っている人も、日々買っている食品など生活必需品が道路によって運ばれ、そのコストが値段に反映されているのだから、この問題とは無縁ではいられない。また、バスやタクシーを利用するだけで、この税金を間接的に負担していることを覚えておいてほしい。
日本自動車連盟(JAF)や日本自動車工業会(JAMA)、石油連盟などのホームページで「道路特定財源の一般財源化」についての意見が表明され、署名運動なども行われているので、そうした意見に触れながら、道路と税金について、今一度じっくり考えてみてはどうだろう。