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写真:加藤大毅
スタイリスト・鬼塚美代子(アンジュ)、メイク・鷲田知樹(おかもと技粧)
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vol.296
INTERVIEW
暗黒街・神室町にヒーロー降臨!!
『龍が如く 劇場版』
北村一輝
でも『タイタニック』で泣けるんです(笑)。
強烈な存在感を残す個性派俳優であると同時に、どんなジャンルの作品・どんな役どころでも演じきってしまう性格俳優・北村一輝。最新作で演じるのは、シルバーのスーツに身を包んだ眠らない街の一匹狼。超人気ゲームをモチーフにした映画『龍が如く 劇場版』で主人公・桐生一馬を演じ、自身の俳優名の名付け親でもある三池崇史監督とともに、男の美学渦巻く群像アクションムービーを描き出した!
「三池監督が作るということは、どんな題材が来ても三池ワールドになる。もう、初めからそう思っていましたから(笑)」
三池監督の『日本黒社会 LEY LINES』の主演でキネマ旬報日本映画新人男優賞に輝いた北村は、以後も『岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇』『許されざる者』などで活躍した“三池組”出身。
「今回、監督も僕も、クランクインする前にゲームを実際にやっているんですよ。やはり原作ファンの期待を裏切らないよう、まず自分がゲームの世界観のファンにならないと。ただ、脚本を読んだときに感じたのは、これは神室町という架空の町の1日を描いた群像劇だということです。ゲームでは完全に“自分”が主人公なんですけど、映画ではいろんな人が歩いている神室町を舞台に、そのうちの1人である一馬がクローズアップされている感じになるんです。だから、神室町の匂いというか空気感が伝わればいい。なので僕は“この映画の主人公は神室町なんです”ってよく言っています(笑)」
その世界のタブーを犯し長いときを刑務所の中で過ごした後に、因縁渦巻く神室町へと戻ってきた主人公。クール&ダークなキャラクターの魅力を体現した北村は、ゲームのファンも大絶賛だ。
「かっこよく映っていればいいんですけど(笑)。基本的にこの作品は、いわゆる仁侠映画ではないんですよ。むしろ僕たちはそういう題材をもらって、コアなエンターテインメントを作りたかったんです。ゲームがR-18なので、映画はできれば中高生にも見てもらいたいんですよ。仁侠映画だと思われて、女性や中高生に敬遠されるのは避けたかったんです。本当にいろんな人に楽しんでもらえる映画になっていますしね。そういう間口を広げるのも僕の役目なので、髪の毛もゲームのヒーローっぽくしましたよ。戦うと前髪が降りる、とか(笑)」
三池監督ならではの演出か、リアルな暗黒社会の空気感と、ゲームを踏襲した見せ場が混ざり合う。クライマックスの戦いでは、なんと一馬の拳から炎が…。
「あれはね、僕も完成作を見て知ったんですけど楽しかった(笑)。監督も先日このシーンのことを聞かれて“いや、原作がゲームだから”と答えてました(笑)」
とはいえ北村は、一馬という“キャラクター”を映画の“主人公”として神室町に息づかせている。
「これはアクションが目立つ作品になるだろうなと思ったんですよ。だからこそ、僕はその中でじっとしていなくてはいけないと考えたんです。迷いもなく突っ走っていったらゲームと同じになってしまう。映画では少しだけ感情の揺れを見せようと思ったんですよ。例えば子供と話すときには、子供の言葉をちゃんと聞いてから答える。それによって、顔の表情とか表面的には表れていなくても、一馬の人間的なところが見えるでしょう」
エンターテインメント感満載となった本作だが自身が好きなノワール映画は?
「『仁義なき戦い』とか、『ゴッドファーザー』は好きですね。でも、要はその中のヒーロー性なんですよね。ワルのなかにあって義を通す人って、すごくヒーロー的に見える。そういう人物が好きなんですよ。ただ、僕はあまり泣ける任侠映画で涙することってないんですよ。むしろ『タイタニック』のほうが泣ける(笑)。どちらかというと女性目線に近いのかも…(笑)」
そんな縛られない目線も、北村をどんな役でもこなす性格俳優たらしめているのかもしれない。
「いつも、一般的な視線で物事を見ていたいんです。男女も大人子供も関係なく。こういう仕事をしていると、多くの人と違う見方になりがちなんですけど、正しいかどうかは別にしても、世間一般の目線でものを見ることは大事なことだと思うんですよね。僕はこの仕事をしていて何がしたいかというと、できるだけ多くの人を楽しませたいんです。僕は仕事も好き嫌いでとらえてないので、来た順番からスケジュールが合えば受けてますね。まあ、それがいいのか悪いのか分からないけど(笑)。だって、好きな仕事をしているだけですから。ラーメンが好きなら、いろんなラーメンを食べるでしょ(笑)」
最後に、北村にとって、俳優としての“仁義”を聞いてみた。
「仁義…こだわりですか。こだわりは…こだわりを持たないこと(笑)。こだわりを持つと、どうしても何かを狭めてしまう。狭い見方をする役者にはなりたくないんです」

(本紙・秋吉布由子)