
vol.296
INTERVIEW
小林武史プロデュースのニューシングル『あふれる』をリリース
My Little Lover
akkoのソロ・プロジェクトとして再始動したMy Little Loverが、2007年第1弾シングル『あふれる』を7日、リリースする。昨年のアルバム『akko』は小林武史の名前なしで好評を博した。「ころ合いを見て(小林に)オファーしたい」と語っていたが、本作は早速の小林プロデュース作品。「やっぱり、天才」と、ベタ褒めだ。
My Little Lover(マイリトルラバー。以下、マイラバ)の再出発は、とてもスムーズで、とても自然だった。ブランクを感じさせることもなく、期待を裏切るサウンドでもなく、心地よくて遊びがあって、ちょっと毒もあるサウンドで、すっとシーンに入り込んだのは昨年のこと。
「すごいやりたかったんですよ。音楽に関わっていきたい、音楽に触りたいっていう心境で。音楽は好きだし日常的にも聞いているんだけれど、もう一歩踏み込んで、“曲を作りたい、レコーディングをしたい”っていう気持ちが噴出した、というか」
結成当初は3人だったマイラバも、昨年の再始動でついに1人になった。名プロデューサーでマイラバのサウンドを作り上げた小林武史は関わらず、レコード会社も移籍。作家、エンジニア、アーティストと、新しく関係を作り上げながらのスタートだった。「それが追い風になった」と本人。
「小林にソロ・プロジェクトとしてやってみるのはどうか、って提案されたんですよ。彼も忙しいし他にやりたいことが山ほどある状態にあって、マイラバを今すぐやることは無理だっていうのが前提にあってのことですけど。これまでは小林がいて、彼の仕事は速いだけじゃなくて的確で、私の出る幕もなかったんですけど、それがなくなったことで自分にかかってくる責任も大きくなりました。でも、私はそれを“追い風が吹いてくれたのかな”って思ったんです。やる気にさせてくれたというか」
自ら曲を選び、歌詞を書いた。全体的なアレンジはもちろんだが、コーラスアレンジまでも口を出した。だからこそ、これまで聞こえてこなかったakkoの部分が聞こえてくる楽曲で、アルバムはいっぱいになった。
「自分がジャッジをしていく人になるわけだから、迷っているわけにもいかないし。だから、自分が最初に感じた気持ちを大切にしようと思ってやってきたところがありますね。そのために、かなり細かいことも言ったので、エンジニアさんは大変だったかもしれませんね(笑)」
アルバムリリースのタイミングで行われたあるインタビューのなかで、akkoは「ころ合いをみて(小林にも)オファーをしたいと思っている」と話していた。それが、まもなくリリースされるニューシングル『あふれる』で早くも実現した。
「ソロ・プロジェクトを始めながら、もうかい!ってね(笑)。自分でもそう思いますよ。今回は、まずタイアップの話をいただいて(『あふれる』は放送中のドラマ『今週、妻が浮気します』の挿入歌として書き下ろされた)、曲を集めたんですけど、これだ!というものが見つからなかったんです。アルバムの『バケット』のような感情のものと御題をいただいたのはいいんですけど、私としてはその曲でやっちゃったからな〜という気持ちもあったし、悩んだんですよ。その時に小林にも相談をしていたんですけど、“じゃ、俺も書いてみよっかな〜”って。もともとアイデアはあったと思うんですけど、あっという間に書いてくれたんですよ。その曲がすごく良くて。やっぱり、天才だって思いました(笑)」
小林ならではの独特なメロディーと“あふれる”というキーワード。そこから、世界が広がった。ピュアに恋する気持ちとはまた違った切なさが、『あふれる』にはあふれている。
「感情か何かがあふれる、っていう。でも、歌詞はなかなかあふれませんで、搾り出すみたいな感じでした。歌詞は、全体のつじつまというか、映画のストーリーを小さくして歌詞にのせるっていうイメージで書いているんです。小説っていうと大きすぎますけど、ちゃんと完結するというか。腑に落ちるというか、ちゃんと終わりがあるというか。起承転結とまではいいませんけれども、そういうのは歌詞を書く上で気にすることですね。そういうのが私も好きだし、そういったことが曲の力強さになってくるのかなって思うんです。例えば、ある植物を曲に見立てたとして、土から上のきれいな部分じゃなくて根っこの部分も見せたいなって思う。根っこあっての葉っぱなんだってね。『あふれる』は、とくにその部分を見せたい曲だと思うんです。バラードですから、もちろん言葉は大事になってくる。だからこそ、奥底にあるメッセージをちゃんと伝えたい」
ゆるやかでちょっとメロウで、何か原因なのか分かっているようでいないようで。だからといって、どうすることもできない心のざわざわした感じ。『あふれる』のストーリーはそんな不思議な感じを残す。好き、嫌いという感情と自分の気持ちをストレートに表現することを良しとするティーンエイジャーの恋にはない雰囲気が、大人たちを夢中にさせそうだ。
この曲を皮切りに、今年もマイラバはマイペースで進んでいく。
「そうですね、ライブをちゃんと何本かやって、アルバム『akko』をちゃんと演奏したいって気持ちはあります。いい曲とも出会っているし、歌詞も書き始めているので、そういうものは早い段階でカタチにしたいかな。冬ぐらいにでもアルバムリリースぐらいのつもりでやれたらいいと思います」
とめどなく楽曲もあふれてくる? ミュージックシーンはマイラバであふれてしまうかもしれない。
(本紙・酒井紫野)
 『あふれる』 My Little Lover
3月7日(水)発売 エイベックス
[CD+DVD] 1890円 [CD] 1050円
(共に税込)
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