
vol.304
INTERVIEW
女帝が描く「お仕事マンガ」はオペラ歌手を目指す女の壮絶バトル!
一条ゆかり [プライド]7巻発売中!
セレブな高校生が活躍する大ヒット漫画「有閑倶楽部」を始め、無数の名作を生み出してきた一条ゆかりが、女性漫画誌「コーラス」にてオペラ歌手を目指す女の戦いをテーマにした「プライド」を熱筆中だ。絢爛豪華な歌劇界で繰り広げられるむき出しの人間ドラマは、数多くの女性の生きざまを描いてきた彼女の真骨頂ともいえる作品。現在、戦いの舞台をヨーロッパへと移した物語は、さらに華麗にヒートアップ。デビューから40年を経てなお輝き続ける漫画界の女帝を直撃取材した!
オペラを舞台に選んだ理由は?
「お金持ちと貧乏人という女性二人が華やかなお金持ちの世界で勝負するお話にしたかったんです。オペラってコーラス読者の30代女性が、一生に一度くらいは見てみたいと思っていながらまだ見ていない、ちょっと敷居の高いものなんです。考えてみたら、今彼女たちにとってそういう憧れの場所ってとても少ないんですよね。私の漫画で興味を持った読者がオペラの世界に入っていって、人生に潤いが増えたりしたらいいな、なんてことも考えました」
昔からオペラは好きでしたか?
「構想を練っていた当時は4回しか見たことがなかったです。しかも4回中3回は途中で寝てました(笑)。でもオペラの遊び方が分かってくると、だんだん寝なくなる。ああ、こうすれば眠くならないんだって最近やっと分かってきましたよ」
苦労しているのはどんなところ?
「読者が知らないものを紹介するっていうのは、最初はラクかなって思っていたら、とんでもなかった。始めてみたらオペラにはコアなファンがたくさんいるっていうことが分かって、怖いからものすごく真面目に取材しています。ちょっとでも間違えようものなら、ひどい目に遭うに違いないと(笑)」
取材をたくさんされているんですね。
「何度かヨーロッパの取材をしているんですが足りなくて、近々また予定しています。たとえば前回の取材では、オペラ座の楽屋は見せてもらえず、構造や雰囲気がよく分からなかった。今回はありとあらゆるツテを使ってオペラ座の裏側を見せてもらいます。曲にしても、内容を知っていないと衣装や表情が描けないから、たくさん勉強しています。綺麗な服を着せて歌っているところを描けばいいというわけにはいかないもので…取材に振り回されていますよ」
取材をして創作する中で、フィクションとノンフィクションのバランスはどうやってとっていますか?
「フィクションを面白くする方法というのはみんな一緒なんです。できるだけたくさん取材して、本当のことばかりを描いた中に、嘘をちょんちょんと点在させる。するとその嘘がとてもらしく見えて面白くなるんです。あとは100%ありえないという嘘は入れないこと。バランスは1/3は嘘で2/3は本当、くらいかな。嘘を半分以上入れるとすべてが嘘っぽくなっちゃいますね」
女のプライドをテーマにした理由は?
「新連載を起こす時、もう描きたいことはたいてい描いてしまっていたので何を描こうかと悩んだんです。私、困った時には初心にかえるようにしているんですけど、今まで残してきた中で一番、自分はこれが描きたかったんだっていうのは「デザイナー」(*)だったと思いあたったんです。「デザイナー」は、25歳の時に、女は仕事に対してどういうふうにプライドを持って生きていけばいいんだろう、と考えて描いたものなんだけれど、それはずっと考え続けていること。だから今またプライドをテーマにして描いてみたくなったんです」
気高い主人公・史緒とプライドを捨てて生きるライバル・萌の対立で表現したいものとは?
「史緒は誇りと尊厳を持つことで自分を支えていますが、そういう人はこの世の中、大変生きづらいだろうなって思うんです。かといって萌のようにプライド全部を捨ててしまったら、やさぐれてしまって嫌でしょう。たいていの人はどちらもバランスよく持っているから、両方のキャラクターが心の中にありますよね。たとえばテストの前日に、頑張って自分の点数を良くしようとはもちろん思うけど、優等生が病欠して平均点が下がったらいいな、なんて心に浮かぶことってあるじゃないですか。プライドを持つ人と捨てた人との対比を普通よりもはっきりさせることで、仕事に対してだけでなくもっと大きなこと、人としてどうプライドを持って生きるかということを描いていきます」

(取材・文/小川瞳)
恋愛のカリスマ・一条ゆかりの恋愛観は…
「最近私の恋愛観は、愛人を持つおじさんみたいかも(笑)。
本命は漫画で恋人は愛人。だからもし恋人に漫画を辞めろって言われたらその人とは別れると思うわ」
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