
vol.307
どうなる憲法改正−−国民投票法成立
憲法改正手続きを定める国民投票法が14日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。民主、共産、社民、国民新の野党4党は反対したが、民主党の渡辺秀央元郵政相は党の方針に反し賛成票を投じた。
国民投票法は、投票の対象を憲法改正に限定。投票年齢は原則18歳以上としたが、成年年齢、選挙権年齢を18歳に引き下げるなど関連制度の整備が行われるまでは20歳以上とした。成立に伴い、国民投票法は近く公布されるが、施行は公布3年後の平成22年で、初の国民投票が実現するのは早くても23年になる見通し。
参院選後の臨時国会では、衆参両院に改正原案を審査する憲法審査会が常設される。だが、国民投票法が施行されるまでの3年間は、審査会の改正原案提出、審査権限は凍結され、「調査」に専念する。国会が発議した憲法改正案は、国民投票の有効投票総数の過半数で承認される。
国民投票法の成立を受け安倍晋三首相は14日、首相官邸で自民党の中川昭一政調会長と会談し、同党が一昨年に公表した新憲法草案の見直しも含め議論することで一致した。空席だった党憲法審議会長の人選を急ぐことも確認した。安倍首相はこれまで、草案の見直しはしないと明言してきた。今の草案で参院選を戦う考えを示していた。しかし日本の歴史、文化、伝統色が削除されて「法規集のようなもの」(中曽根康弘元首相)になるなど、「保守らしさ」が抑えられた草案に、党内外から保守色を強めるよう求める意見が続出。14日の首相と中川氏の会談では、首相は「1次草案の中で当然、議論があるでしょう」と述べた。中川氏も「草案をこのまま3年後に出すわけにはいかない」とし、具体的な見直しの論点として前文、9条、憲法裁判所の3点を挙げ、首相も同意した。
一方、反対票を投じた民主党は、実際の憲法改正には衆参両院で3分の2が必要なことから、逆に改憲は遠のいたと反論。鳩山由紀夫幹事長は「安倍政権は憲法改正の手続き法の手続きを誤ったのではないか」と批判。党憲法調査会長として、自公両党との間で法案の修正作業にあたった枝野幸男氏も「安倍首相は『護憲派』だ。結局は憲法改正を遠のかせている」と皮肉った。民主党は「憲法改正問題は、参院選の争点にはならない」(幹部)とし、「与党は参院選の争点にするために、実績づくりで国民投票法に取り組んだ」(小川敏夫参院幹事長)と批判のトーンを強めている。ただ、改憲派が党内の多数を占めるにもかかわらず、与党案に反対したことで、参院選では有権者の「疑問」に答える必要性も生じた。鳩山氏は「(参院選で)憲法を避けるつもりは一切ない。受けて立つ覚悟はある」と話すが、本気で憲法論議を進めれば、「護憲」を旗印とする社民党との選挙協力にも影を落とすことは間違いない。