
vol.307
米ビッグ3の一角が! クライスラーを9000億円でサーベラスに売却
自動車大手、ダイムラークライスラーは14日、米投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントに北米部門、クライスラー・グループの株式の約8割を総額55億ユーロ(約9000億円)で売却することで合意したと発表した。残り2割はダイムラーが保有を続け、クライスラー再建を支援する。米独大手が演じた「世紀の大合併」は9年で破綻し、これをきっかけに、世界の自動車産業に新たな再編の波が押し寄せる可能性もある。
ダイムラークライスラーの発表によると、クライスラー売却に伴い、持ち株会社「クライスラー・ホールディング」を設立し、サーベラスが80.1%、ダイムラーが19.9%を出資する。ダイムラークライスラーは社名を「ダイムラー」に変更するが、クライスラー売却後も北米以外の地域で、部品調達などの協力を継続するとしている。
焦点となっていたクライスラー部門従業員の医療費と年金の債務(約180億ドル)は、クライスラーが引き継ぐ。ダウ・ジョーンズなどによると、クライスラー部門のラソーダ最高経営責任者(CEO)は新生クライスラーで続投するほか、サーベラスは、過去にクライスラーのCEOを務めたことがあるベルンハルト氏を送り込む。
ダイムラークライスラーのツェッチェ社長は今年2月、業績不振が続くクライスラー部門再建に向け、「あらゆる可能性を排除しない」との方針を発表し、売却先の選定を本格化。これに対し、サーベラスと同じ米国の投資ファンド、ブラックストーン・グループや、45億ドルでの買収を表明した米著名投資家カーク・カーコリアン氏率いるトラシンダ、カナダの自動車部品大手マグナ・インターナショナルなどがクライスラー買収に名乗りを上げた。
このうちマグナは買収資金確保に向け、同じカナダの投資ファンド、オネックスと連合を組むなど着々と準備を進め、一時は最有力候補とみられていた。全米自動車労組(UAW)が、投資ファンドによるクライスラー買収は従業員の大量リストラにつながるとして、繰り返し反対を表明していたためだ。ところが、UAWのゲトルフィンガー委員長は姿勢を一転し、サーベラスによる買収が、「クライスラーグループの将来の成功に向けた最良の選択」との声明を発表。最大の難関はクリアされ、サーベラスに落ち着いた。
(ビジネスアイ)