今週のTOKYO HEADLINE
vol.308
(2007.05/28-06/03)
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撮影:加藤大毅
MOVIE vol.308

INTERVIEW
TOKYO ATHLETE FILE vol.11

青木真也
(格闘家・パラエストラ東京)

だからこそ「格闘バカ」は生き残る。

「試合はマジメ、他はおちゃらけ。コレが理想です」

 人呼んで「跳関十段」。元警察官という経歴や江頭2:50ばりのロングスパッツで注目を浴びる青木真也(パラエストラ東京)は、その実力もワールドクラスのPRIDE最注目ファイターだ。今月の「TOKYO ATHLETE FILE」では、入場曲『バカサバイバー』がハマり過ぎる男・青木を直撃インタビュー。その“スゴ面白い”魅力を探ってみた。

されます。今はどんな雰囲気で練習をされているんですか?

「休みは週1日ぐらいですけど、楽しく仲間と練習してます。でも4月から試合してないんで“動いてるニート”みたいなもんですよ(笑)。今は試合がしたいし、とにかく世に出たい。これが本当のプロだったらそんな感情もコントロールできると思うんですけど、僕が若いからなのか、なかなか『試合に出たい!』という気持ちは抑えられないですね」

――8月にはPRIDE参戦1周年。当時と今の「PRIDE観」の違いを教えてください。

「最初はそんなに注目度もなかったですし、いつもの試合と変わらない気持ちでリングに上がりました。やっぱりPRIDEは演出が素晴らしいと思ったし、試合の後は『楽しく終われたな』っていう印象でした。その時はPRIDEに出させてもらったという感じでしたけど、今はもうホームリングというか。ファン、チーム、スタッフは家族で、PRIDEが自分の家のような感覚になってますね」

――この1年で選手としても成長したという手ごたえはありますか?

「体力、技術ともにレベルアップはしてると思います。でも、何より一番大きいのは“覚悟”ですね。この世界で自分はやっていくんだっていう覚悟。そこがPRIDEに出る前と今では全然違います」

――昨年は警察官という安定した職を辞めてプロ格闘家一本に絞る決断もしました。

「僕にとっては、一般の仕事に就くっていう経験がすごく重要だったんですよ。本当にプロでやっていく決意があるのかどうかを確認した部分もあったし。逆にあの経験がなかったら、自分の芯がないままホケホケやって、実力も実績も伴わない選手になっていたかもしれないです」

――男祭りのレインボースパッツに“逮捕パフォーマンス”、そして“青木パパ”…。そういうパフォーマンス的な部分の弾けっぷりもプロの覚悟があるからやれる?

「強ければいいという意見もありますけど、強いのは当たり前なんですよ。PRIDEに上がるっていうことは。僕は強さ以上のものをどれだけ見せられるかっていうのも選手の魅力だと思っています。入場からメディアでの取り上げられ方から、すべて合わせてナンボ。だから試合はマジメ、他はおちゃらけ。コレが理想です」

――試合はこれまでオール1R一本勝ちで、会場人気も高まるばかり。理想に近いんじゃないですか?

「去年の大みそかに『ファンをつかんだ』っていう手ごたえはありましたね。今は入場の時にもお客さんが『青木が来るよ!』っていうだけで盛り上がってくれますし。この感覚は最高ですよ。ただ、そのあたりは美濃輪選手とか見てると、まだまだだなって思いますよ。僕は格闘家としてもまだ成長段階だし、リング以外の魅せる部分もこれから。やりたい試合、相手もいっぱいいるし、選手としての欲はくさるほどあります」

――格闘技以外の「欲」は?

「あんまり物欲みたいなものってないんですよね。試合後の楽しみは“富士そば”のカツ丼とか。あとは甘いものとスタバ…。それぐらいしか楽しみねえのかよって感じですけど(笑)。けっこう試合前には『あれ買って、有名な店の焼き肉食べて』なんて考えるんですけど、終わって4、5日ぐらいグダ〜ってなってプッチンプリンとか食べてると、そういう気持ちがなくなっちゃう。『もういっか。練習しよ〜!』って。それで結局、使おうと思ってたお金は使わないんですけど、気付いたらなくなってる。なんか不思議な感じですよ」

――どうなってるんですかね(笑)。

「いやあ、分かんないです。そこらへんがユルいんですよね。あとは遊びか〜。僕に言わせれば練習が遊びなんですよね。かわいい女の子と“ワオワオしたい”って思うこともあるけど(笑)、いざ目の前にするとめんどくさくなっちゃうみたいな。そういうの分かります? 同窓会やろうやろう!って計画しといて、当日になると『かったるくね!?』って。そういうタイプなんです。でも、そのあたりが選手として活動する部分では助かってるとは思います。お酒飲まないから調整も楽だし」

――得というかなんというか…。ところで青木選手といえば寝技のスペシャリスト。始めたころはどうやって技術を身に付けたんですか?

「昔は何をすればいいか分かんなかったし、本当に手探りでした。柔道が強ければ総合も強いだろうって思ってたぐらいですから。その当時、今成(正和=Cage Rage世界フェザー級王者)さんと2人っきりでずっと練習していた時期があって。そこで一緒に考えたり、今成さんに教えられたりしながら必死にやったのが、今の僕にとって重要な経験になってますね」

――ブラジルの子どもが夢中にボールを蹴ってサッカーが上達するような…。

「そういうノリですよ。僕も十段(今成)も『寝技で強けりゃいい』と思ったら寝技をレベルアップして、次は『じゃあ総合やんなきゃ』と思って総合やって。あの経験があったからこそ、僕がここまでトントン拍子に来れたんだと思ってます。おかげで試合になっても緊張しないし、“冷静にゲームを実行する”という気持ちでリングに上がれるんです」

――経験以外の部分で試合を冷静に運ぶ秘けつというのはありますか?

「試合が決まってから1〜2週間ぐらいでプランを立てるんですけど、そこに向けて自分をどこまで持っていけるかが重要ですね。あとひとつ、“最高の試合”ができる時があるんですよ」

――というのは?

「僕の場合、入場で気持ちがガーっと上がってから、『ハァ』って1回気持ちが引くんですよ。具体的には胴着を脱いで、チェックを受けて、リングに上がってセコンドスタッフに『行ってくるよ』っていうタイミング。ここで気持ちが1回下がるんです。こうなると周りも全然気にならなくなるし、試合でも強い。“自分”というものを一個後ろから見てるような感覚になるんですよ」

――それって達人めいた話じゃないですか!? そのあたりはもっと聞きたいですけど…最後になってしまったので今後の目標をお願いします。

「このままファンを増やしていって、10年後は総理大臣か国会議員にでもなろうかな。誰かと考えてること一緒ですね(笑)。まあマジメな話、自分の能力を高めることが目標です。あとはPRIDEライト級GPで全試合スパっと一本勝ちすること。そうすれば応援してくれる人にも喜んでもらえますから」

――周囲に期待されると実際にやりたくなるタイプですか?

「乗せられるとやっちゃいます。たぶんバカなんでしょうね(笑)」



(聞き手/本紙・小池龍之)

■PROFILE 1983年5月9日、静岡県生まれ。パラエストラ東京所属。柔道、柔術、サンボで実績を残し、04年DEEPウェルター級トーナメントで総合格闘技デビュー。06年2月には第8代修斗世界ミドル級王座に輝く。その翌月、早大を卒業し警察官になるが、その後退職。プロ格闘家の道に進むことを決意する。同8月の「PRIDE 武士道 ー其の十二ー」からPRIDEに参戦。PRIDEでは4戦すべて1R一本勝ちの快進撃を見せている。180cm、72 . 6kg 。
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「会場に着いたら、まずはグッズ売り場に行って青木Tシャツを…(笑)。あとパンフレットとPRIDEグッズを買って、ビールでも飲みながら楽しく見てほしいですね。僕の試合で見てほしいところはとにかく寝技。PRIDEの選手はそれぞれみんなウリがあるので、そこに注目してもらえたら最高ですね」
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