
vol.309
林道談合追及の渦中 松岡農水相が自殺
松岡利勝農水相(62)=自民、衆院熊本3区=が28日正午すぎ、東京都港区赤坂の議員宿舎で首をつっているのが見つかった。松岡氏は慶応大学病院(新宿区)に搬送され、死亡が確認された。室内からは、安倍晋三首相や小林芳雄農水事務次官らにあてた遺書6通とA4の便箋2枚が見つかり、警視庁赤坂署は自殺と断定。松岡氏は光熱水費問題や農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」の談合事件が国会で問題になっていた。現職閣僚の自殺は現憲法下で初めて。
警視庁によると、遺書は、松岡氏の自室1102号室の居間のテーブルの上に首相や農水事務次官、秘書官、親族の景山俊太郎参院議員ら個人にあてた茶封筒6通と、「国民のみなさま、後援会のみなさま」あてと発見者向けとみられる2枚が置かれていた。
調べでは、午後0時18分、秘書がSPと部屋に入ると、松岡氏は、居間の高さ2メートル以上あるドア上部の角にひもをかけ、首をつっていた。パジャマ姿で、そばには高さ約30センチの脚立があった。秘書が午前10時ごろに話した際は変わった様子はなかった。午後0時15分から省内で打ち合わせがあったが、部屋から出なかったため、秘書らがドアの鍵を開けて部屋に入った。
病院によると、搬送時は心肺停止状態。蘇生措置を行ったが、心拍が再開する兆しがなく、午後2時に死亡を確認した。
安倍晋三首相は28日夕、松岡利勝農水相が自殺したことについて、記者団に対して、「有能な農水相だった。それだけに内閣、政権への影響は大きいと思う。任命権者としても責任の重さを改めてかみしめている」と述べ、ショックの大きさをうかがわせた。周囲の反対を押し切って、黒い疑惑が尽きない松岡氏を閣僚に起用したのは首相自身だ。農水行政への熱意を信じ、「農業改革は松岡氏にしかできない」と踏んだのだが、結果は裏目に出た。
光熱水費問題など「政治とカネ」をめぐり、野党が主な標的としていた松岡利勝農水相の自殺により野党側にも足並みの乱れが出そうだ。
野党各党の幹部は異口同音に「大変残念だ。心からご冥福(めいふく)を祈る」(民主党の鳩山由紀夫幹事長)と表明しているが、政治とカネの問題をどの程度追及していくかをめぐって、各党で温度差が出始めている。
松岡氏の死亡の報を受け、共産党の市田忠義書記局長は「なぜ松岡氏がこういう立場に追い込まれたか、安倍晋三首相は任命権者として明らかにする責任がある」と指摘。社民党の福島瑞穂党首も「政治とカネの問題を野党として、ちゃんとやっていかなければならない」と述べ、問題追及の構えを見せた。最大野党・民主党の鳩山氏は、記者団から首相の責任追及など今後の対応を問われ、「亡くなられたばかりだから。そういう話をするのではなく、政治とカネの問題なら、1人ひとりの政治家が与野党を超えて、真剣に深刻に悩みながら答えを出すべきだ」と、慎重な言い回しに終始した。
林談合事件のキーマン自殺
29日午前5時15分ごろ、横浜市青葉区青葉台のマンションの駐車場で、独禁法違反容疑で担当理事らが東京地検特捜部に逮捕された独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)の前身、旧森林開発公団の山崎進一元理事(76)が血を流して死亡しているのが見つかった。神奈川県警青葉署は現場の状況などから自殺とみている。
山崎元理事は)。「林道談合事件のキーマン」と目されていた人物だった。公団退職後も林道業界で隠然たる力を発揮し、林道関連業界でつくる任意団体「特定森林地域協議会」(特森協)の副会長として政治献金の差配を行っていた疑いも指摘されていた。緑資源機構の官製談合事件にからみ、特捜部の事情聴取を連日受けており、29日午後も聴取を受ける予定だった。調べによると、山崎氏はこのマンションの住人。遺書は見つかっていないが、6階の通路に靴がそろえてあった。山崎氏は妻と2人暮らし。