
vol.309
河瀬直美監督がカンヌでグランプリ受賞
フランス南部カンヌで開催されていた第60回カンヌ国際映画祭は27日夕(日本時間28日未明)、最高賞「パルムドール」に次ぐ審査員特別大賞「グランプリ」に日本の河瀬直美監督(37)の「殯(もがり)の森」を選出して閉幕した。邦画の同賞受賞は1990年の小栗康平監督「死の棘(とげ)」以来。
「殯の森」は妻と死別後、認知症になりグループホームに住む老人と、子供を亡くしたばかりのグループホームで働く女性が墓参りの途中で森に迷い込む話。監督の養母の介護経験や故郷の奈良市郊外の山里が舞台になっており、単純な物語や自然描写の中に自らの体験に裏打ちされた人間の深遠な悲しみや存在が描かれている。
河瀬監督は奈良市生まれ。97年、初の劇場用映画「萌(もえ)の朱雀(すざく)」でカンヌ国際映画祭の新人賞「カメラドール」を史上最年少で受賞しており、カンヌでは2度目の快挙。03年にも「沙羅双樹(しゃらそうじゅ)」が、主要賞の対象となるコンペティション部門に出品されたが、惜しくも落選した。「殯の森」は劇映画では4本目の作品。
河瀬監督は受賞あいさつで、「殯の森」が最高賞に届かなかったことについて「残念だという思いもある」と率直に語る半面、「また次のステップにできる賞だと思っている」とも述べ、再び最高賞に挑戦したいとの意思をにじませた。
なおパルムドールにはルーマニア人のクリスティアン・ムンジウ監督の「4カ月、3週間と2日」。第60回を記念した特別賞には米国のガス・ヴァン・サント監督の「パラノイド・パーク」が、監督賞は米国のジュリアン・シュナーベル監督の「潜水服は蝶(ちょう)の夢を見る」が受賞した。