
vol.310
小船で「脱北」の4人韓国移送へ
2日午前4時すぎ、青森県深浦町沖の日本海で男女4人が乗った国籍不明の小型木造船を釣り人が発見し110番通報した。青森県警と海上保安庁のヘリが深浦港に船を誘導、上陸した4人の身柄を確保して事情を聴いたところ、朝鮮語で「韓国に行きたい。5月27日に北朝鮮の清津港付近を出航した」と供述した。脱北者と判断した県警は入管難民法違反(不法入国)容疑で捜査し、入国管理局でも事情を聴いた。調べに対し4人は「生活が苦しく、1日おきぐらいにパンを食べるのがやっとだった」「自由がない。人権が保障される国に行きたい」と脱北の動機を供述した。4人は家族で、父親は元漁師、母親は無職、長男は専門学校生、二男はタコ漁師。「北朝鮮に残した家族はいない」としている。「二男が操縦資格を持っており、苦労して船を購入し、タコ漁の収入で一家を細々と支えてきた」と説明。「韓国の放送を聞くと罰せられる」など北朝鮮の事情も話しているという。
4人は身分証明書にあたる「公民証」や北朝鮮の通貨、中国の人民元を所持。
また所持品の中に、ごく少量の覚醒剤があったことが4日、警察当局の調べで分かった。二男が所持を認め、「自分で使うために持っていた」と供述しているという。警察当局は逃亡の恐れがないことなどから強制捜査はせず、覚せい剤取締法違反(所持)容疑で書類送検。警察当局によると、見つかった覚醒剤は約0.7ミリグラム。二男は「北朝鮮で覚醒剤は簡単に入手できる。長旅なので、眠らないようにするため持っていた」と話しているという。
政府は韓国行きの希望をかなえる方針で安倍晋三首相は3日、都内で街頭演説し、「日本は自由を守り、人権を尊重する国だ。人道上の観点から対応することを約束する」と述べた。また韓国の宋旻淳・外交通商相は3日、「日本が調査を行っている。人道的な立場で対応する」と述べ、本人の意思が確認されれば韓国は受け入れる用意があるとの立場を表明した。
日本に逃れてきた脱北者の処遇については、「政府は脱北者の保護および支援に関し、施策を講ずるよう努める」と明記された北朝鮮人権法(平成18年施行)が適用される。今回も船が武装しておらず、工作員の可能性が低いことが分かった段階で、保護対象に切り替えた。青森県警が入管難民法違反の容疑者ではなく、警察官職務執行法に基づく保護対象者としたのもこのため。ただ、警職法の保護に関する規定は5日間が限度で、6日には茨城県内の入管施設に移された。
よど号犯と合流の赤木容疑者を逮捕
日航機よど号ハイジャック犯と合流した赤木(旧姓・米村)邦弥容疑者(52)が5日夜、平壌から北京経由で関西国際空港に到着。渡航制限されていた北に申請手続きを行わず入国した旅券法違反容疑で逮捕された。容疑を認めている。
警視庁公安部の調べでは、邦弥容疑者は56年10月、大阪からパリに向け出国。西独(当時)の飲食店などで働いたが資格外活動で検挙され、国外退去処分になった。その後ウィーンに入り、57年9月ごろから60年まで滞在した。60年によど号犯の赤木志郎容疑者(59)=国際手配=の妹(53)と知り合い、62年4月に一緒に北へ渡り、結婚。この間、61年9月に成田からスリランカに再出国した記録はあるが、その前の帰国記録がないことが判明。公安部は、邦弥容疑者が海外から不法入国したとみている。