
vol.311
朝鮮総連本部の売買に元公安庁長官の会社が
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部(東京都千代田区)の土地・建物の売買取引をめぐり、購入代金を払わないまま所有権移転登記したとして、東京地検特捜部は13日、電磁的公正証書原本不実記録の疑いで、購入会社の代表取締役で元公安調査庁長官の緒方重威氏(73)の自宅や弁護士事務所を家宅捜索した。
緒方氏は13日、会見を開き、特捜部の任意聴取や捜索を受けたことを認め、「納得がいかない」と話した。売却話は朝鮮総連が整理回収機構(RCC)から約628億円の返還を求められた訴訟で、中央本部を明け渡すことになるのを防ぐためだったと説明。緒方氏によると、4月中旬に、RCCとの訴訟で朝鮮総連側の代理人をしている弁護士から売却の話を持ちかけられ、ファンドを組成して資金調達する計画を立て、5月31日付で売買契約が成立。既に所有権移転登記を済ませたが、資金調達の難航で代金は未払いのままという。緒方氏は「非常に困難な情勢。引き下がるときは引き下がる」と契約を白紙に戻す可能性を示唆している。
契約内容は、緒方氏の投資顧問会社が(1)35億円で土地、建物を買い取る(2)1年間は総連が今まで通りに使う(3)総連側に5年後の買い戻し予約権を認める(4)総連は投資顧問会社側に年3億5000万円を支払う−など。今月1日に登記を申請し、8日に完了したが、売買が公になり、出資者が動揺し、買い取り資金が集まっていないという。
また緒方氏は、「私は朝鮮総連に取り込まれたのではない」と強調し、「朝鮮総連が中央本部を拠点にして違法行為をしていたことは認識している」とも述べた。その一方で、「私は終戦後に満州(現・中国東北部)から引き揚げてきたが、祖国というものを強く感じた。祖国を思う気持ちは在日朝鮮人の方も同じ。実質的な大使館を守ってあげなければと思った」と、契約を結んだ理由を説明した。