今週のTOKYO HEADLINE
vol.312
(2007.06/25-07/02)
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撮影・加藤大毅 ヘアメイク・晋一朗(ZAC) スタイリスト・Haniwa
MOVIE vol.312

INTERVIEW
『吉祥天女』主演

鈴木杏

 現在公開中の北野武監督最新作『監督・ばんざい!』に続き、12月には大作『椿三十郎』も控える鈴木杏。6月30日から公開となる『吉祥天女』では、ミステリアスなヒロイン・小夜子役で主演。今年は鈴木杏の“七変化”から目が離せない!!

今、道の始まりに立ったという気持ちなんです

「台本を読んだときには、自分が演じているところを想像することがまったくできなかったんです。演じる叶小夜子はミステリアスで、皆がことごとく翻弄される“魔性の女”。でも、私にそういう要素なんてまったく無いんです。逆に転がされるタイプの人間なんですよ(笑)。まったく未知の部分に踏み込んでいかないといけないので、最初はどうしたらいいだろうと思って…」

 そんな彼女が本作で演じるのが、美貌と神秘的な雰囲気で、皆を魅了していく“魔性の少女”小夜子なのだ。

「吉田先生は“ぜひ、原作とはまた違う作品を作ってほしい”とおっしゃっていたんですけど、及川監督も最初から“この作品は青春映画にしたい。だから、何も考えずに現場に入って”、と。それで私も、何も考えず、エクステだけつけて現場に入ったんです(笑)」

 とはいえ、実際“魔性”を具体的に表現するのは、難しかったのでは?

「原作を読んで浮かんだ小夜子のイメージをもとに、口調や動き方、人を見るときの目線などに気をつけましたね。あとは感情をどこまで出すか、出さないかという部分。でも“魔性”って感覚的なものですよね。“あっ、この人絶対モテる!”みたいな(笑)。そういうのって本当に感覚で感じることじゃないですか、思わず引きつけられるって。だから私は本仮屋ユイカちゃんが演じる由似子も、ある意味、魔性といっていいと思うんですよ」

 今回初共演した本仮屋とは、絆を結んでいく由似子と小夜子のように、友情が芽生えたようだ。

「同年代の俳優さんと、ここまでしっかり共演したのはユイカちゃんが初めてだったんです。私が由似子ちゃんに感じる気持ちは、小夜子がユイカみたいな女の子になりたかったと思うのと似ているような気がする。ユイカちゃんも由似子のようにとってもナチュラル。でも私は、妙に考えすぎたり気を使いすぎたりしてしまうところがあって(笑)。気を使われるよりも、真っすぐに接してもらうほうが相手も楽になれることってありますよね。ユイカちゃんはまさに人を楽にさせるところがあるんですよ。私、そういう人と会うと、心をわしづかみされちゃうんです(笑)」

 そんな気持ちを本仮屋さんには?

「実は、今日言っちゃいました(笑)。そうしたらユイカちゃんは“同じようなことを思ってた”って(笑)。今回共演する以前からテレビや映画でずっと見ていてくれたみたいで、全くの同じ年の子が小中高大学と行きながら女優という仕事をしていて、自分も頑張ろうと思ってくれていたみたいです。初めて一緒の画面に映っているのをモニターでチェックしたときに、すごく興奮したって言われて、すごく変な感じでした(笑)。自分と同じことをユイカちゃんも思っていたなんて」

 一方、唯一小夜子に翻弄されない遠野涼役の勝地涼も、同年代の注目株。

「実は勝地涼くんともそんな感覚を感じたんです。あ、ちょっと小夜子と涼みたい、って。これまで何度も共演しているんですけど、似た者同士だなと思うことが多いんですよ。2人ともどこか中性的な部分を持っていて、演技に対する向き合い方も近い。調子に乗るとすぐふざけちゃうところも似てます(笑)。なんだか“同志”という感じ。人として役者として似ているという感覚が、小夜子と涼の関係とも近い気がします。あの2人は似ているから惹かれあう。でも小夜子はこれ以上惹かれてしまうのを恐れて涼を拒絶してしまうんですね」

 一作ごとに役幅を広げ、女優としての存在感も増していく。成長は実感する?

「まだ分からない、というのが正直なところです。今回、小夜子を演じて一番大きかったことが、今までやったことのない役に挑戦できたということ。それを道に例えると、新しい道のスタートラインまで連れて行ってもらえた…そんな感じです。でも、その道に沿って野菜を植えたり家を立てるには、まず自分で耕さないといけない。道の入り口までは連れてきてもらったけれど、この先、道を途絶えさせるのも充実させるのも自分しだい。今は、そんな意識のほうが強いですね」

 今年の出演作はいずれも話題作ばかり。

「すごいなと思う人たちばかりに出会うから、恵まれてるなと思う反面、自分はここにいちゃいけないんじゃないかなと思うこともありますよ(笑)。それでもいつかは、自分も“この人がこの役をやるなんてすごい”って思ってもらえるような女優になろうと思います」

 すでに“すごい”女優の道を歩み始めている彼女の言葉は爽快だ。



(本紙・秋吉布由子)

『吉祥天女』 原作:吉田秋生 監督:及川中 出演:鈴木杏、本仮屋ユイカ、勝地涼、市川実日子他 CKエンタテインメント配給/1時間56分/6月30日より渋谷Q-AXシネマ他にて公開 http://www.kisshohtennyo.jp/


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