
vol.312
渋谷の女性専用温泉施設で爆発事故
9日午後2時半ごろ、東京都渋谷区松濤の女性専用温泉施設「渋谷松濤温泉シエスパ」の別棟(B棟)で爆発があった。女性従業員3人が死亡、8人が顔にやけどなどの重軽傷を負った。死亡したのは、日詰真里さん(51)と藤川広美さん(22)、爆発から約4時間後にがれきの下から発見された千財明菜さん(23)。ほかに従業員の女性(35歳と32歳)と通行中の男性(28)が重傷、道路を挟んで入浴施設がある本館(A棟)にいた従業員ら5人が、目などの痛みを訴えた。
調べでは、B棟は地上1階、地下1階の鉄筋コンクリート造り。1階に従業員用の更衣室や休憩室があり、死亡と重傷の従業員は休憩室にいた。B棟では地下約1500メートルから温泉をくみ上げ、地下のパイプでA棟に送り、ボイラーで加熱して利用している。源泉には天然ガスが含まれるため、ガスを分離する「分配器」(ガスセパレーター)を地下1階に設置し、換気扇などでガスを屋外に放出する仕組み。20日に行われた現場検証では分配器が昨年1月の開業以来、一度も点検されていなかったことが分かった。ガスの充満を知らせる検知器も未設置で、濃度の点検は掘削時以外に行われていなかったとみられる。警視庁捜査1課は同日、業務上過失致死傷容疑で、運営会社「ユニマットビューティーアンドスパ」(港区)、施設管理元請け「日立ビルシステム」(千代田区)、同下請け「サングー」(品川区)、設計・施工の「大成建設」設計本部と東京支店(新宿区)など10カ所を一斉捜索した。
同日の現場検証の結果、機械室内の源泉槽や分配器が設置された側の損傷が激しく、捜査1課は、地下から温泉をくみ上げるモーターの制御盤などが稼働した際、充満していたガスに引火したとみている。機械室にはサングーの70歳代の2人の嘱託社員が毎日、交代で常駐。温泉の圧力計や流量計を確認していたが、分配器など排気システムの点検はしていなかった。サングー側は「分配器には関与していない。天然ガスが発生することも知らず、契約書にガス関連を扱う業務はない」と説明。日立ビル社も「ガス排出システムの管理は契約事項にない」などと主張しており、昨年1月のシエスパ開業以来、両社とも分配器の点検をしていなかった。ユニ社は検知器について、「排気システムは管理会社に委託しており、異常があれば本館の警報器が鳴る」と説明していたが、現場検証で検知器は見つからなかった。分配器を施工した「大成設備」(新宿区)も「検知器は設置していなかった」としている。