
vol.313
INTERVIEW
全編モノクロ&3D、声優は『007』の新ボンド!! フランス発驚異のアニメーション、日本上陸!
『ルネッサンス』
クリスチャン・ヴォルクマン監督
妖しく、異質で、エロティック…。江戸川乱歩が、そのシュールなエロスを最大限に発揮させたともいえる異形の傑作「人間椅子」。見どころは、乱歩ワールドをいきいきと闊歩する?才人・板尾創路だ。
3D映画×モノクロだからこそ、簡単なこともあるんですよ(笑)。
――舞台は近未来のパリ。誘拐された女性研究者を追う刑事が、人類の未来に関わる禁断の研究の存在を知ってしまうというハードボイルドなディテクティブストーリー。モノクロだけでここまで繊細かつスタイリッシュな表現ができることを証明した作品を他に見たことがない。
「そうでしょうね。モノクロでしかも3Dの長編アニメーションというのは、この作品が初めてだと思いますよ。これまでにも短編は作られているんですが、長編はなかったんです」
――主人公のカラス警部の声優は『007 カジノロワイアル』のダニエル・クレイグ。
「ダニエルの声は男っぽくてカッコいいでしょう(笑)。孤独で男らしいカラスのイメージぴったりでした」
――フランス公開時にはかなり話題になったのでは?
「実は『ルネッサンス』がヨーロッパで上映されたとき、『シン・シティ』と公開が同時期だったんです。どちらもモノクロだったので、しょっちゅう比較されたり、同一視されたりして、ときどきイライラしたこともありました(笑)。確かにこの作品もフランク・ミラー(『シン・シティ』の原作者)にインスピレーションを受けているところもあるんですが、あちらは実写で、こちらは完全にアニメーションですから、まったく違うものなんですけどね」
――本作の驚くべきところは、実写に引けをとらない表現力を持ちながら、あくまでアニメーションであるということ。
「この作品はアニメーション作品よりもむしろ、実写映画に多くインスピレーションを受けているんです。アニメーションを普段見ない人にも、実写映画と同じ感覚で楽しんでもらえるはずだと思いますよ。カメラワークなども、多くの実写映画と変わりませんから、これをこのまま実写映画にすることもできるでしょうね。もちろん問題は出てきますけど…時間とかキャスティングとかセットとか費用とか…(笑)」
――白と黒の配色だけで、服の質感までがはっきりと分かるのに驚きました。
「おっしゃるとおり、そういったことはとても難しいことでした。革なのか、コットンなのか、麻なのか…生地の素材もちゃんと描くことが必要でした。そういう意味では、カラー作品より表現が難しい点はあったと思います。逆に、光と影のつけ方がとても難しい場面などの場合、黒く塗りつぶしてしまうこともできるので、そういう意味ではカラーより簡単なところもありましたけど(笑)。でも、いちいち“これはどんな素材の服だろう”とか“この人は金髪なのか”というような疑問を、見ている人に抱かせてしまったら失敗だと思うんです。“モノクロ”を意識させているようではいけない。たとえモノクロだとしても、映画を見ているときに自然と“この人は革ジャンを着ている”というふうに感じ取ってもらいたかったわけです」
――雨のシーンは美しいが、モノクロで表現するのは相当難しかったのでは。
「漫画であれば確かに大変な作業でしょうね。でも実は、3D映画だとそこは意外と簡単なんです。雨を描くソフトというものがあって、それで作った画像を元にして光と影を足していけばいい。そのあたりは3Dのほうが楽ですね(笑)」
白と黒で構築された世界観の美しさはもちろん、実写とアニメという区分を意識させない表現、演出も見事な一本。センスを磨ける作品としてもオススメだ。
(本紙・秋吉布由子)