
vol.313
株主総会 明と暗
ブルドックがスティールの手法にノー
米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドに敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられているブルドックソースの定時株主総会が24日、都内で開かれ、買収防衛策の導入が80%強の賛成で可決、承認された。
総株式の10.52%を保有するスティールは反対したが、取引先などの大口株主のほか、個人株主の多くも賛同し、特別決議に必要な3分の2以上をクリアした。スティールは防衛策の差し止めを求める仮処分申請を東京地裁に申し立てており、焦点は法廷闘争に移る。
特別決議をクリアしたことで、スティールの請求棄却を予想する声が多い。差し止めが認められた場合でも、総会で導入に賛成した株主がTOBに応じなければ、スティールは経営の重要事項を拒否できる3分の1超に株を買い増すことはできないだけに、ブルドックは買収防衛に向け、大きな関門を突破したといえそうだ。
総会には例年の50〜70人程度を上回る約110人が出席し、時間も約3時間に及んだ。
総会後に記者会見したブルドックの池田章子社長は「スティールを排除するか否かを株主の意志に委ねることにした結果、80%以上が(排除に)賛成してくれた」と述べ、圧倒的多数の賛成を得た意義を強調。「投資ファンドと企業の利益は異なり、衝突する。ファンドは株で利益を得ようとするが、企業は長期的な利益回収を目指す」とし、排除の理由を説明した。
一方スティールのウォレン・リヒテンシュタイン代表は「防衛策は企業価値を大きく棄損するものだと確信している」との談話を発表。TOBと法廷闘争を継続する考えを表明した。
新日鉄はファンづくり
「ミタルの脅威に個人株主の支持で対抗」。国内鉄鋼最大手の新日本製鉄が昨年、買収防衛の“切り札”と位置づける個人株主重視の取り組みに乗り出してから初めての定時株主総会が24日、開かれた。総会の出席者は過去最高だった昨年の約1600人から1000人以上も多い2754人に達し、取り組みの成果がはっきりと表れた。
鉄鋼業界では昨年、1位の旧ミタル・スチールが、2位のアルセロールに敵対的買収を仕掛けて合併し粗鋼生産量で新日鉄の約3倍に上る巨大メーカーが誕生した。ラクシュミ・ミタル会長は同社にとって空白地帯であるアジアメーカーの買収に意欲満々。特に新日鉄は旧アルセロールと欧州で提携し、関係は現在も継続しており、ミタルは欧州以外への提携拡大を要求し交渉が続いている。
ミタルの脅威の高まりを受け、新日鉄では昨年から、さまざまな観点から対抗策を検討。住友金属工業や神戸製鋼所との株式持ち合いによる“相互防衛協定”の締結などを進める一方で、敵対的買収を仕掛けられても株を手放さない“ファン”づくりに取り組んできた。今年の総会改革もその一環だ。
ミレアHDでは「不払い」に質問
東京海上日動火災保険などを傘下に持つミレアホールディングスの定時株主総会が25日、東京都千代田区のパレスホテルで開かれた。東京海上日動は、保険金の不払い問題で金融庁から一部業務停止命令を受けており、総会の冒頭で、石原邦夫社長が株主に対し、「関係者の皆様にご迷惑と心配をかけて申し訳ない」と陳謝した。総会には昨年より約50人多い293人が参加し、所要時間は昨年より1時間4分長い2時間45分。取締役の選任など会社側が提案したすべての議案が承認された。
株主からは「なぜ問題が発生したのか」、「経営責任についてどう考えているのか」などの厳しい質問が相次いだ。これに対し、総会後に辞任し会長に退く石原社長は「痛恨の極みで誠に申し訳ない。報酬の返上と業務執行から外れるという対応をとっており、今後は会長という立場から新体制を見守りサポートしていきたい」と述べ、理解を求めた。
再建中の日航は“陳謝総会”に
26日開かれた経営再建中の日本航空(JAL)の定時株主総会。西松遥社長は2期連続の赤字のほか、昨年、総会で説明せずに実施した大型公募増資への陳謝を繰り返した。
当初は今回の総会までに、主力取引銀行による資本支援策への合意を取り付け株主に説明したい考えだったが、調整が難航し果たせなかった。再生には資本増強が不可欠だが、相次ぐ増資は1株当たりの利益の希薄化を招き、既存株主は不利益を被る。「株主軽視の経営姿勢」への批判は根強く、困難な経営判断を迫られている。
JALは昨年の株主総会の2日後に開いた取締役会で、総会ではいっさい言及しなかった2000億円もの大型公募増資を決定。株主の猛烈な批判を浴び株価が急落し、増資による調達額が目標を大きく下回る約1400億円にとどまったという痛い経験がある。
今年の総会でも再び、批判を浴び、西松社長は「株主にご心配やご不快の念をあたえ、申し訳ない」と陳謝。「航空機の調達など、今後の発展のため必要不可欠だった」などと弁明に追われた。
日本政策投資銀行と3メガバンクの主力行の支援による新たな資本増強については、竹中哲也常務が「現状で決まっていることはなく、時期、規模についてここで申し上げることはない」と説明。一方で、「(2月にまとめた)再生中期プランを補強する手段として資本施策の可能性を不断に考えるのは取締役の責務だ」とも述べ、その可能性は認めた。(ビジネスアイ)