
vol.314
久間防衛相が原爆発言で辞任 後任に小池百合子補佐官
久間章生防衛相は6月30日、千葉県柏市の麗澤大学で講演し、昭和20年8月9日の米国による長崎への原爆投下が、終戦を早め、旧ソ連による北海道侵攻を防いだとの認識を示した上で「原爆を落とされて本当に悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている」と語った。久間氏は長崎県出身だが、「(米国は)日本が負けると分かっているのに、あえて広島と長崎に原爆を落とした。長崎に落とすことで日本が降参し、ソ連の参戦を止めることができると思ってやった」と指摘。その結果として戦後、日本が自由主義陣営に加わり、日米安全保障条約を結んだことを「わが国にとって良かった」と述べた。
この発言に対し、野党側は鳩山由紀夫民主党幹事長が「日本国民としてとても許せない。大臣をやっている資格はまったくない」と語るなど一斉に反発した。
安倍晋三首相は1日の小沢一郎民主党代表との党首討論会で野党の罷免要求に応じない考えを表明していたが、久間氏は3日午後、首相官邸を訪れ、安倍首相に辞任する考えを伝えた。安倍首相は同日、ただちに後任に小池百合子首相補佐官(国家安全保障問題担当)を充てる人事を決定した。防衛庁、防衛省を通じて女性閣僚は初。昨年9月の政権発足以降、閣僚交代は久間氏で3人目となった。
その後の記者会見で、久間氏は「不用意な発言だった。参院選で私が足を引っ張るようなことがあっては申し訳なく、首相の姿勢にマイナスにならないよう身を引く決意をした」と述べた。これに対し、安倍首相は同日夜、首相官邸で記者団に「政治家として一番重い責任の取り方であり、私はその意思を尊重したい」と述べた上で「閣僚としては発言が不注意だった」と指摘した。また、「任命責任は私にある。こういう結果になったのは残念だが、私には改革を進めていく大切な使命がある」と述べた。
小池氏起用については「安全保障政策に精通し、さまざまな情報も把握している。海外の外相、防衛担当相とも面識がある」と理由を語った。
小池氏は首相からの就任要請を受け、首相官邸で記者団に「女性初の防衛相として、毎日、着実になすべき防衛政策をし、次なる大きなグランドデザインを描きたい」と抱負を語った。