
vol.314
国民年金2年以内に記録照合へ
政府は4日、年金記録紛失問題の対応策について、国民年金のオンライン記録と手書き台帳の照合作業を2年以内に完了させるなど、実施時期を当初の計画よりも早めることを決めた。国民の不安を少しでも早く解消させるためで、全受給者と全加入者への詳しい年金加入履歴の通知についても前倒しし、受給者については年内に通知を開始する。
新たな対応策によると、国民年金のオンライン記録と手書き台帳の照合作業については、3090件のサンプル調査で計35件の入力ミスが判明したことから、厚生年金よりも優先的に実施する。
照合は手作業で行われるが、人海戦術や現在未入力の記録を改めてデータベース化することなどで、2年以内に完了させることにした。厚生労働省は4年はかかるとの見通しを示していたが、作業を急がせることにした。費用は数百億円規模の見通し。
一方、詳しい年金加入履歴の通知についても、基礎年金番号に未統合で宙に浮いた5000万件との照合のためのソフト開発を年内に完成させることで、受給者には来年8月、加入者には再来年3月までに通知するとしていた当初の予定を数カ月ずつ前倒しする。
受給者については、現行システムで可能なものは年内に通知を開始する。加入者については具体的な前倒し時期は調整中だが、来年12月までの通知完了を目指す。
厚生年金のオンライン記録と手書き台帳の照合作業については、「基本的にミスが少ない」(自民党中堅)ことから、サンプル調査を行い、これでミスが多数発見された場合にのみ実施予定。
実施する場合は、国民年金と同様に手作業で照合を行うが、こちらは作業完了まで4年かかる見通し。費用も数百億円かかり、国民年金と合わせると1000億円以上かかるという。対応策に伴う照合費用には年金保険料は充てず全額税金で賄う。首相はこれまで、社保庁予算の枠内で対応する考えを示してきたが、今回、スケジュールの前倒しを政治決断したことで、政府全体での予算確保に方針転換することになる。
年金記録紛失問題で、現在の137の市町村が国民年金の手書き台帳(加入者名簿)を廃棄していたことが、4日の「年金記録問題検証委員会」(松尾邦弘座長)に社会保険庁が提出した資料でわかった。
この問題をめぐっては柳沢伯夫厚生労働相が6月12日に191件と公表していた。だが、各自治体がさらに調査を進めた結果、廃棄したはずの台帳が見つかるなどしたため、実際に廃棄した自治体数は減少した。
資料によると、全国1827市区町村のうち、手書き台帳を「保管なし(廃棄済み)」と答えたのは137市町村。一方で、栃木、東京、福井、大阪、和歌山、岡山、佐賀の7都府県ではすべての自治体が保管していた。さらに保管している自治体もあるとみて、検証委では再々調査を促している。
年金納付記録は社会保険庁のコンピューターに入力されており、台帳は「控え」。ただ台帳が廃棄されていれば入力ミスの訂正など照合作業はより難しくなる。検証委は12日の参院選公示前に今後の調査方針や年金問題の実態をまとめた中間報告を公表する。