古田プレイングマネジャーが就任し、チーム名に「東京」を冠した昨シーズンは2年ぶりにAクラス奪回。今シーズンからセ・リーグにもプレーオフが創設され、6年ぶりのリーグ制覇へ向けて動き出した「古田スワローズ」の2年目は、苦しいスタートを余儀なくされた。 リーグ王者の中日、昨季2位の阪神と開幕2カードはいきなり強豪と激突。ここでスタートダッシュを狙いたかったスワローズだったが、22年ぶりの開幕4連敗を喫して出鼻をくじかれる格好となった。 中でも苦しい戦いを余儀なくされたのが投手陣だった。右のエースとして期待されていた川島が右肩痛を再発させてローテーションに穴が開くと、石井一、藤井とともに貴重な左腕として奮闘していた石川が、6月6日の西武戦まで白星が出ないという絶不調。加えて注目のルーキー・増渕も右肩の違和感で長期離脱することが濃厚となり、チーム防御率は4点台とリーグ5位の成績に低迷した。スワローズ自慢の強力打線も、岩村がデビルレイズに入団したことで必然的にパワーダウン。開幕直後には“恐怖の2番”リグスが戦線離脱するアクシデントにも見舞われ、指揮官は日替わりオーダーを組みながら難局を乗り切るほかなかった。 それでも交流戦後半の6月に入ると、スワローズは徐々に本来のしぶとい戦いを取り戻し始める。日本野球になじんできた新外国人ガイエルや、好守でスタメン起用されてきた田中らが調子を上げてくると、スクランブル的に先発ローテ入りした館山を中心に投手陣も奮闘。6月を勝率5割オーバーで終え、Aクラス入りへ向け巻き返し態勢に入った。 前半戦こそ思うような勝ち星を挙げられなかったスワローズではあるが、今後のプレーオフ戦線を考えるうえで、主力が安定した結果を残している事実はなによりも心強い。打線では打率3割台をキープする青木にラミレス、宮本。そして投手では石井一、木田といった“スワローズ優勝&メジャー経験組”のベテラン。彼らがスワローズの屋台骨を支え、そこに若手やケガからの復帰選手が加わってくれば、前半戦とは比べものにならない強さを発揮できる可能性は高い。
現時点ではスワローズと5位、6位を争っている広島ではあるが、この位置にいるとは思えないほどに強力な戦力を誇っている。 何よりスワローズにとって脅威なのは、栗原、新井、前田智で構成される和製クリーンアップ。チーム全打点の半分以上をこの3人で稼ぎ出しているだけに、彼らの前にランナーを出すことはご法度だ。 ただし、広島につけいるスキは投手陣にある。昨オフに残留を表明して男を上げたエース・黒田は安定した成績を残しているものの、その他の先発陣はいまだ5勝未満。クローザーの永川も不振のため2日に登録抹消されており、その台所事情は決して良好とはいえない。 どちらも“打高投低”な両者の対決になれば、乱打戦になる確率は高い。しかもホームランの出やすい神宮球場は、破壊力に勝る広島打線の危険度がさらにアップする。投手力では中継ぎ陣の豊富さでスワローズが一歩リードしているが、片時も油断のできない試合展開になることは間違いないだろう。 そして選手だけではなく、広島戦は監督対決も大きな見どころになる。“ベース投げ”でおなじみブラウン監督は、リーグ唯一といっていい闘将タイプ。理論派の筆頭・古田PMとブラウン監督による采配合戦もまた、プロ野球の奥深さを感じさせてくれるはずだ。 プレーオフ進出を占うサバイバルマッチの様相を呈する10、11日の東京ヤクルトスワローズvs広島カープ。順位だけで判断するにはもったいない“ベストバウト”になることを期待したい。