
vol.316
リトビネンコ氏毒殺事件で英が露外交官を追放
ロシアの元情報機関員、リトビネンコ氏毒殺事件で、ロシア側が旧ソ連国家保安委員会(KGB)元職員、ルゴボイ容疑者の身柄引き渡しを拒否したことを受け、英国のミリバンド外相は16日、英国駐在のロシア外交官4人を追放すると発表した。外交官の追放は、1996年に国家機密に関するスパイ容疑で英露双方がそれぞれ外交官4人を追放して以来となる。
ミリバンド外相は16日午後の国会答弁で、「今回の措置は英政府が望んだ形ではないが、これ以上の選択肢はない」と指摘。外交官追放のほか、ロシアとの間のビザ発給手続きの簡素化に関する交渉を凍結、ルゴボイ氏が第三国に出国した場合、身柄を英国に送還するよう求めると述べた。また同外相はさまざまな分野でロシアとの協力関係も見直すと指摘し、今後、追加措置についても検討される可能性がある。
一方、ロシア外務省のグルシコ次官は17日、「英政府に近く、しかるべき対抗措置を取る」として、報復を公式に宣言した。会見で「ロシア憲法は自国民の他国への引き渡しを禁じている」と、英国が容疑者としたルゴボイ氏の引き渡しをあくまで拒否するとともに、露外交官の追放を決めた英国を批判した。ただ、具体的な報復内容については「一般市民の利益を考慮する」と述べるにとどめた。
英露両国は欧州犯罪人引渡条約(1957年署名)に加盟しているが、ロシアは「加盟国には自国民の引き渡しを拒否する権利がある」(16日付外務省声明)と主張。グルシコ次官も露憲法が同条約に優先するとの考えを示した。
両国関係は2003年、英国が反プーチン政権の政商、ベレゾフスキー氏とチェチェン穏健独立派の幹部、ザカエフ氏の政治亡命を認めたのを機に悪化。リトビネンコ氏毒殺事件でも、露検察当局は当初から両亡命者が犯行に関与しているとして、英当局とは全く異なる捜査の方向性を見せている。
両亡命者はプーチン政権下で“国賊”扱いを受けており、2人を受け入れた英国に対する不信感が、ロシアでは根強い。