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中川昭一(なかがわ・しょういち)……1953年生まれ。東大法学部政治学科卒。1983年衆議院初当選後、当選回数は8回を数える。1989年、農林水産政務次官、1995年衆議院逓信常任委員長、1997年自民党副幹事長、1998年農林水産大臣(小渕内閣)、2001年自民党広報本部長、2003年経済産業大臣(小泉内閣)、2005年農林水産大臣(第3次小泉内閣)、2006年より自民党政務調査会長。二十一世紀倶楽部では、リバティ・オープン・カレッジの『人間図書館』の館長も務めている。
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vol.316
第26回リバティ・オープンカレッジ
中川昭一が語る「水環境と日本」
先月28日、21世紀倶楽部主催、ヘッドラインも後援している『リバティ・オープン・カレッジ』が開催された。今回の講演者は自民党政務調査会長を務める中川昭一氏。揺れる国政の中、『地球の持続可能性を脅かす水環境』と題し語った“危機”とは――? 世界の最前線からの言葉が語られた。
「エネルギーと資源、食料、水は四身一体の問題」
21世紀を担う若い社会人たちに、混迷の時代を生き抜くモノサシを身につけてもらうためのリバティ・オープン・カレッジに今回登場したのは自民党政調会長を務める中川昭一氏。農林水産大臣、経済産業大臣を歴任した氏が、混迷を深める世界に対し、今もっとも危機感を抱いている問題として選んだテーマは、なんと「水」だった。
講演の始まりに当たっては、「久しぶりにここ(オープン・カレッジ)で話すので、3時間睡眠を削ってまで資料を作ってきた、これをしゃべらずには帰られない」と笑いを取り、「水」問題に至った経緯を語る。
「農林水産大臣を務めたときは食糧問題に直面した。その後経済産業大臣時には原油価格の高騰があり、その中で日本には資源がないことを痛感した。わが国の物質フローを見ると、年間1.5億トンの輸入に対して8億トンの物質を輸入している。金額でいえば、輸入は75兆円、輸出は82兆円で、資源を輸入して作る製品に“付加価値”を与えて年間7兆円の利益を出している。これは日本のすばらしい技術のおかげ。しかしいくら資源の少ない日本でも、水だけはあるだろうと思っていたが、4年前の第3回『世界水フォーラム』で皇太子殿下の記念講演を聞いたのがきっかけで勉強するようになったら、これは大変なことになっているなぁということに気付いた」
のだという。それによると、例えば淡水は地球上全体の水のわずか2.5%にすぎず、人間が利用可能な水はそのうち0.01%しかない。しかも、日本は年間1700mmの降水量があるにも関わらず、国土が狭く人口密度が高いうえ、生活水準が高いために、一人当たりの水資源量が、世界平均9123m3に対し、その約1/3の3332m3しかないのだという。
「日本は水は豊かだと思われがちだが、このことはぜひ理解してほしい。アメリカでは1人が1トンの水資源をたった2日で利用し、アフリカでは平均1年、中国は20日かかる中、日本は3日で1トンを消費することを考えると、これからますます水資源の問題は大きな問題となる」
日本での水資源の利用比率は、66%が農業用水、20%が生活用水、14.4%が工業用水。「日本の産業界は、大変な努力をして水効率を高めてきたが、生活の分野ではまだまだ」と中川氏。
この水問題で中川氏が危惧していることの1つは「エネルギーと資源と食糧と水は四身一体の問題になっている」ことにある。例えばCO2の削減問題で、日本では近年産業界で非常な努力を重ね、着実な成果を上げているにも関わらず、生活の分野ではCO2の削減がはかばかしくない。「1人1人が気をつけて、できることをやるだけで京都議定書が定める目標削減量を単年度でクリアすることが可能」なのに、それがかなわずにいるのだ。それと同じことが水でも起きている、ということだ。
「温暖化の問題が叫ばれているが、それは水の側面で見れば、降水量の二極化――つまり降るところはとても多く降って洪水が多発するようになり、降らないところではますまず降らなくなり、砂漠化が進むということ。環境問題が重要になってくる今、水はますます重要な問題となってくる。ぜひ皆さんにも勉強してもらいたいし、節水にも努力してもらえればと思う」
と締めくくった。ドイツサミットで安倍首相がリードした環境問題は、来年の洞爺湖サミットでますますクローズアップされてくる。日本だけでなく、世界の将来を考えるうえで、水もまた重要な指標になることを、聴講者は改めて実感した講演会となった。
参院選に向けて…

講演でも、その後の質疑応答でも時節柄話題に上った参議院選挙。「先日記者会見でも発表したもの」と聴講者に渡されたのは『成長を実感に!』と題されたリーフレットだ。
これは「参議院選挙に向けた自民党の選挙公約をまとめたもの」であり、『美しい国の礎を築く』『美しい社会と暮らしのために』『美しい郷土をつくる』『美しい国、日本の指針を世界に示す』、この4つの大カテゴリーのもと、155の公約が掲げられている。中でも『美しい社会と暮らしのために』では、96項目が割かれ(033〜129)、選挙の主眼が「暮らし」にあることが分かる。そこでは、医療、年金、食糧など生活の基盤に対する指針、犯罪・事故の防止、安全保障など、日々の生活の安全に関する問題、労働と企業の発展を守る指標など、“今”の問題のほとんどが集約されている。
また、リーフレットの末尾では、2005年以降の安倍政権下での選挙公約の実績と成果も記載されており、中川氏が「なかなか評価されることが少ない」と嘆く、安倍首相の外交上の成果なども読むことができ、興味深い。
聴講者とのコミュニケーション
リバティ・オープン・カレッジの後半は参加者からの質疑応答。政調会長に直に質問できるとあって、多くの質問が飛び出した。中川氏もフランクに答え、会場は盛り上がった。
Q.安倍政権の支持率低下をどう思うか。
A.年金問題など、安倍さん自身以外の問題のために支持率が下がっているが、これはもともと期待が大きかった分の反動もあるだろう。安倍さんは医療、教育、年金など今世紀の問題をすべてなんとかしようと、1人で真正面から取り組んでいる。必死にやるべきことをやっている。だから安倍さんは支持率の低下で一喜一憂していない。先日は激励に行ったら逆に激励されてしまった。
Q.20代、30代の人に伝えたいことは。
A.今、こういう立場になると物事をじっくり考える時間がない。物事をじっくり考えるにはタイミングが大切だが、そのタイミングを失わないためには、考える瞬発力が必要だ。それは普段から蓄積しておかないとできないこと。そのためには人と関わっていないといけないし、活字にも触れていなければならない。携帯電話やPCでメールをチェックする時間を必ず作っているのなら、人と関わる時間もちゃんと作る。電車に乗るときも、週刊誌だけではなく本を読むなどするのもいいだろう。いろいろなことをやって、ストックをたくさん作ってほしい。
Q.首相になったら何をするか。
A.今は安倍さんを支えるだけ、やるべきことをやるだけ。やるべきことはいっぱいある。年金、税金、景気、水の問題。今は国民の安心、安全も大きな問題だ。ジェットコースターの事故が問題になったが、ジェットコースターは建設省住宅局の管轄のまま。40年前は誰もジェットコースターが電車よりも速く走るなんて想像もしていなかったためだ。こういった点は法改正をするつもりだ。
Q. 座右の銘は。
A.「一意専心」。十数年前に下の子が生まれたときに、現存する政治家で世界を代表する政治家の1人と私が考える李登輝さんから頂いた言葉だ。あの人こそまさに“一意専心”の人だ。
リバティ・オープン・カレッジとは…
21世紀の人材作りを目的に1987年設立された「二十一世紀倶楽部」。その二十一世紀倶楽部が、新社会人、学生らに向け、“混迷の時代を生き抜くためのモノサシ作り”のために、さまざまなジャンルの“達人”たちから、具体的な事例をもとに指標を示してもらおうと開催されているのが、「リバティ・オープン・カレッジ」だ。
1994年に故・後藤田正晴氏(元副総理)を招いて開催されたのを皮切りに、フジテレビの横澤プロデューサー、塚本幸一ワコール会長、元総理の中曽根康弘氏、読売新聞社会長の渡邉恒雄氏など、各界の“大物”が続々登場している。例年春と秋の年2回開催されており、参加希望者は、ネット、電話を通じて誰でも申し込むことができる(新社会人、学生以外の参加も可能)だ。
【問い合わせ】
リバティ・オープン・カレッジ事務局 TEL:03-5570-4546 FAX:03-5570-4577
※二十一世紀倶楽部では、その他小学生に夢を持つことの大切さを教える『夢の課外授業』も開催している。毎回プロスポーツ選手、タレント、アーティストなどが先生として参加! ご希望の方は同電話番号までお問い合わせください。
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