
vol.317
日本ビクターとケンウッドが2008年に経営統合へ
日本ビクターは24日、ケンウッドとその筆頭株主の投資顧問会社、スパークス・グループを引受先とする合計350億円の第三者割当増資を8月10日に実施すると発表した。ビクターとケンウッドは10月にも業務提携を開始し、2008年中の経営統合を目指す。
割当額はケンウッドが200億円、スパークスが150億円。増資後、ケンウッドはビクター株の17.0%を保有する第2位株主となる。52.4%を保有する筆頭株主、松下電器産業の所有比率は36.8%に下がり、連結対象から外れ、持ち分法適用会社となる。ビクターとケンウッドは今年10月にも、車載機器や家電事業で開発や資材購入の一括化などの業務提携を開始。08年中に共同持ち株会社を設立し、両社を事業会社として存続する形式での統合を目指す。提携後の売上高は9000億円規模。主力の車載事業の売上高は約1600億円となり、市販カーオーディオ製品では世界シェアトップになる見込みだ。
実質的事業解体も
提携会見で、松下電器産業の大坪文雄社長とスパークス・グループの阿部修平社長は、ビクターの今後の経営再建についてケンウッドの河原春郎会長に「リーダーシップを発揮してもらいたい」(大坪氏)、「河原氏が中心を担うと期待している」(阿部氏)と口をそろえた。両社長の発言は、対等の共同持ち株会社のもとでの経営統合を目指すビクターとケンウッドの資本提携が、その本質では売上高で4倍強のビクターの経営をケンウッドが握る「小が大を飲む買収」であることをはっきりと示した。
ビクターをめぐっては、松下が米大手投資ファンドのTPGグループへの保有株売却を検討したものの、外資ファンド主導の再建に対するビクターの反発もあって売却交渉が頓挫。結局、同じ事業会社として親近感を持てるケンウッドにお鉢が回った。資本提携に先立ち、ビクターは5月末に打ち出したばかりの再建計画をわずか2カ月あまりで修正。すでに不採算事業の売却や大幅な拠点削減といった新たなリストラの積み増しを迫られている。経営統合は「早くても来年の株主総会以降」(佐藤国彦・日本ビクター社長)とはいえ、ケンウッド側は自社に大きな相乗効果がみこめるカーエレクトロニクス分野などでは合弁による事業統合を先行する意向で、見方によってはビクターの事業構造の実質的な解体が始まるともいえる。
一方で、既存の株式価値を薄める増資によってビクターの経営の主導権をケンウッドに渡す提携のメリットは、一般の少数株主にはみえにくい。TPGの株式買い取り価格やその後の再建手腕は未知数だったとはいえ、ケンウッドがビクターの大幅な株価回復を実現できなければ、筆頭株主としてビクターの行く先を左右した松下の判断が問われることになる。
(ビジネスアイ)