
vol.319
INTERVIEW
もうだれも『呪怨』の爆発感染(ルビ;パンデミック)を止められない!!
『呪怨 パンデミック』監督 清水崇
誰も助かることのない絶対恐怖が、またも目覚めてしまった。しかも今度は、あの恐怖が “爆発感染(パンデミック)”する―!? ハリウッド進出第1作目『THE JUON/呪怨』に続き、またしてもボックス・オフィス初登場第1位を記録した、清水崇監督最新作『呪怨 パンデミック』がいよいよ日本で公開だ。ハリウッドを絶叫させた男・清水崇監督を直撃!
――伽椰子と俊雄の恐怖から逃れる方法は “あの家に触れないこと”。ところが本作ではついにそのルールが…。その意表を突く展開に、アメリカでは早くも“3”への期待が高まっている。
「アメリカでの取材時にもそのことはよく聞かれました(笑)。本作を撮っているときから3作目の話はあったんですが、よほど斬新で面白いと思える脚本ができない限り、もう自分でやるつもりはありません。僕自身“呪怨の清水”から脱する別の代表作を生み出したいし、このシリーズも僕の手を離れて一人歩きさせるつもりです。いつか日本のオリジナル版の3作目は撮るつもりですが…」
――ジャパニーズホラーの確立者として世界的にも名をはせる清水監督がいま思うこととは…?
「アメリカでも日本でも韓国でも、面白い作品をたくさん作っているのに、なぜかホラーになると『リング』や『呪怨』の焼き直しでしかない。正直言って、新しいホラー表現が生まれてないし、みんなで同じものを真似をして、自滅しているように思うんですよ。僕が、最初ビデオで『呪怨』を作ったのは、ちょうど『リング』シリーズがひと段落してホラーもそろそろ下火だといわれ、出資なども難しくなっている時期でした。それでも、違う表現で面白い作品は作ることができるんです。せっかくJホラーという代名詞も生まれて海外にも進出しているのに、同じような作品ばかり作っていてはもったいないですよね。…でも、僕も次から次へとホラー映画を求められても、さすがに飽きてきて(笑)。自分より若い世代で、真新しい表現の作り手を期待してます。製作陣も、何か一つ流行ると似たようなものばかり作らせようとする。この傾向はハリウッドも一緒です」
――監督自身も、新たな試みを企画中?
「実は僕も少しずつ、純粋な“怖がらせホラー”から違うところへ行きたいなとも思っているんです。興味があるのはやはりコメディーですね(笑)。僕は『呪怨』を撮っているときから、『幽霊VS宇宙人』というコメディー要素のある自主映画を作っているんですが、最近もっと開き直ってきているんですよ。“ホラーって怖くなきゃダメなの?”というくらいに(笑)。真逆なことのようですけど、実はそこの境界線ってけっこう曖昧なんですよね。恐怖がもたらす緊張と、笑いのもたらす弛緩のバランスがうまくとれれば、ホラー嫌いな人にも楽しんでもらえる作品ができると思うんです」
――恐怖と笑いは、どちらも演出にセンスが必要だとか。
「実は本作でも一歩間違えば笑ってしまうような場面があるんです。牛乳を飲み続けて吐くという、よく分からない呪われ方(笑)とか。どうしてもこういう実験的なことがやってみたかったんですよ。アメリカのプロデューサーからはことごとく反対されたんですけど(笑)」
――プロデューサーといえば第1作目に続きサム・ライミも参加していますが…
「そのあたりのイタズラ心みたいなものって、サム・ライミと僕、そっくりなんですよ(笑)。『スパイダーマン』もそうでしょう? 開き直ったかのようなCGアクションとか、そこまでやっちゃうかというようなギャクとか(笑)。あの、そんなとこまで追うかというカメラワークなんて『死霊のはらわた』のときから変わってない(笑)。だから“ここは怖くしてほしいのになぜ牛乳を飲んでいるのか分からない”って他のプロデューサーが言う横で“いや、これは狙いで、シミズは分かってやっているんだからいいんだ”って。ちゃんと分かってくれてるんですよ。“シミズは恐怖映画のなかにわざと笑いをさそってしまうようなシーンを入れてみたんだよ、それはシミズの監督としての狙いなんだ。僕は気に入ってるよ”って。日本で作っていたとき、日本人のプロデューサーにすら、そういう場面に“監督、ここはどういうつもり?”って聞かれたのに、彼は分かってくれている。サム・ライミとは国や文化とかを超えて、子供みたいに分かり合えるというか…彼もイタズラ好きですからね(笑)。彼と食事をしていると“実はあの映画は僕の言うことなんかほとんど聞いてもらえなくて、本当は僕が監督したなんて言いたくなかった”なんて話も出ました。“せっかく僕がプロデューサーとしてシミズを呼んだ以上、そんな思いはさせたくない”って。すごくありがたい話ですよね」
――最後に、読者にメッセージを!
「今回は完全オリジナルのストーリーで、アメリカにまで呪いが伝染するという物語。それがどういう経緯で伝わっていくのか、パズルのような構成になっているのでそこを楽しみにしていてください」
(本紙 秋吉布由子)
『呪怨』シリーズファン必読情報!
■ あの人も気になっていた。伽椰子日記
「あれは、僕が考えたネタを助監督に文章化してもらい、美術部に“伽椰子文字”を作ってもらったんです。“この文字はもっと崩して”という感じで(笑)。あれは大変ですよ、“好きなあの人のものなら、吐いたものさえ私は飲み干せる”とか、ストーカーのような伽椰子の思いが書き込まれてますからね。画像にはほとんど映ってませんけど(笑)。実は『THE
呪怨』のとき、サム・ライミが“シミズが指示して書かれたと聞いたんだけど、その日記の内容を知りたい”と言ってきて(笑)。全部訳して送ったら“シミズはクレイジーだ、なんであんなこと思いつくんだ、お前の頭の中はどうなっているんだ”って。だから“僕の頭は、クモと男が合体した映画のことでいっぱいで…”と返すと“それは僕が作ってる映画だろ!”ってツッコミが(笑)」
■ あ"あ"あ"あ"あ"
「あれは僕の声ですよ(笑)。当初は女優さんに言ってもらったり、僕の声と交ぜたりしていたんですけど、やはり監督の声が一番怖いということになり、ハリウッド版では僕の声だけで作ってます。録音技術の進んだアメリカなら、何か新しい発想で作ってくれるだろうと思っていたら、ある日録音スタジオに呼ばれて、僕の声を撮りたい、と(笑)。いろんな声のパターンを録音しました」。ちなみに最初の『呪怨』脚本執筆時、どう表記したらいいのか悩んだあげく“あ”に濁点を打って表記したが、ホラーの仕掛人…一瀬隆重プロデューサーも首を傾げたらしい。「僕が目の前でやってみせると“なるほど…変な事を思いつくね”って。あのとき“あ"あ"あ"”を商標登録しておけばよかった(笑)」と清水監督。
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| 『呪怨 パンデミック』
監督:清水崇 出演:アンバー・タンブリン、アリエル・ケベル、ジェニファー・ビールス他 ザナドゥー エイベックス・エンタテインメント配給/1時間42分/池袋シネマサンシャイン他にて公開中 http://ju-on.jp/
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