
vol.319
拉致問題への影響懸念
米政府は韓国と北朝鮮の首脳会談開催決定について、「われわれは対話を奨励してきた」(マコーマック国務省報道官)と基本的に歓迎するとともに、核問題をめぐる6カ国協議の進展につながることを望んでいる。ただ、北朝鮮が韓国との連携を強めることで、米国などに揺さぶりをかける狙いもあるのではとの警戒感も出ている。
マコーマック報道官は「南北首脳会談が6カ国協議に悪影響を与えるとは思わない」と強調した。そのうえで、8月末の米朝国交正常化作業部会は予定通り開催し、9月はじめには初の6カ国外相会合を行いたいとの意向を改めて示した。
同報道官が6カ国協議への影響にわざわざ言及したのは、今回の南北首脳会談で北朝鮮が韓国から支援の約束を取りつけることで、核放棄に向けた具体的な措置を遅らせようとするのではとの懸念が出ているため。米政府は国交正常化や朝鮮半島の恒久的な平和に向けた対話の促進は図るものの、あくまで核問題の解決が最優先との立場は崩していない。
日本政府は朝鮮半島の非核化の前進に期待を示す一方、融和ムードの先行で拉致問題解決への環境が一層悪化することに警戒を強めている。安倍晋三首相は8日、韓国側に拉致問題解決への協力を改めて要請する意向を表明。安倍首相は同日、首相官邸で記者団に、「南北首脳会談によって朝鮮半島の緊張が緩和されることを期待したい」と強調。その上で、「拉致問題は日本にとって極めて重要な問題だ。解決の重要性について改めて韓国側に理解を求めていきたい」と述べた。首相自身が訪朝する可能性に関しては「拉致問題が解決されなければならない。会談が目的ではなく、解決へ努力することが大切だ」と指摘し、慎重な姿勢を示した。