
vol.319
INTERVIEW
愛される ブラジル産ポンコツシャウトラップ グループ
Bonde Do Role
ボンヂ・ド・ホレ
スカスカなビート、ポルトガル語でまくし立てるラップ、奇妙なダンスはまるでおもちゃだ。ブラジル生まれの3人組Bonde Do Role(ボンヂ・ド・ホレ)が、ブラジル産クラブミュージックのバイリファンキでミュージックシーンをかき回している。その人気たるや飛ぶ鳥を落す勢い。サマーソニック出演のために来日した彼らを直撃した!
いつもジョークばっかり言ってるのよ、私たち――。マリナ
サマーソニックという大舞台を翌日に控えた日、日本に到着したばかりのBonde Do Role(ボンヂ・ド・ホレ、以下ボンヂ)と会った。2カ月前に引っ越したロンドンから、オスロを経由しての来日。長時間のフライトと想定外の暑さに、メンバーはグロッギー気味。それもそのはず、彼らの夏はすごいことになっている。ヨーロッパ中のフェスに立て続けに出演するのだ。
「こんなに早く日本に来られると思っていなかった。それも、大きなフェスティバル! 明日はいいライブをやってまた日本に来たいんだ。だって、今回は忙しくてまったく日本を見ることができなさそうだからさ」(ゴーキー)
2004年に結成した時には、「今の状況は想像できなかった」。同居生活をしていたゴーキーとペドロが “ヘッポコ”なエレクトロ・ロック・デュオを組み、女子シンガーとしてペドロの同級生だったマリナをスカウト。それが転機だった。
「もともとホールや、コートニー・ラヴ、スリーターキニーが好きで、ボンヂの前にはそういったバンドで活動してたの。当時は、バイリファンキには全然興味もなかったな。でも、2人からお誘いがあって歌ってみた。そしたら自分の声がスゴくはまったの。それまで感じたことがないような感覚で。覚えてる?」(マリナ)
「マリナは、最高のバイリファンキボイスを持ってたんだよ。今でもそれは変わらないよ」(ゴーキー)
ハチャメチャなバイリファンキを表現するのにピッタリくる、平たいけれど突き抜けた声。そこに、ペドロのラップやボーカル、ゴーキーの声で入れる合いの手が入ると、おもちゃ箱をひっくり返すような、CDラックをなぎ倒したような、ボンヂの音楽になる。
現時点では、特にヨーロッパで歓迎されているのは、ヨーロッパ発のサウンドの影響やロックフレーバーがそこはかとなく感じられるからだろう。
「父親がすごいスミス(注:英国のロックバンド)のファンで、彼らの作品を集めていた。自然とスミスやヨーロッパの音楽を聞きながら育った。自分でも輸入盤を買ったりしていたからね。02年にあるイベントでDJしたんだけど2MANYDJSをリッピングしたみたいなプレーになってて(笑)。でも、自分らしい何か考えなければって、バイリファンキを組み合わせた。思えば、あれがボンヂのサウンドの始まりだった」(ゴーキー)
音もさることながら、歌っている内容もトンでいる。ゲイのジェームズ・ボンドについて歌った「James Bonde」、ビーチに行く満員バスのなかでチカンをするのを楽しみにお金を貯めているパシリ君を歌う「Office Boy」。ポルトガル語の方言やスラングで歌われているために、読み解くのは容易ではないが、ずいぶん過激。
「曲のアイデア? トラックは僕やペドロだけど、歌詞についてはあらゆる場面で浮かんでくるね。例えば街で変な人に出会ったことだとか、友達がした奇妙な経験談とか。3人のおしゃべりから生まれた曲もある」(ゴーキー)
「3人揃えばジョークばかり言ってるのよ」(マリナ)
「楽しもうっていうのがボンヂで、僕らにとってはメッセージ性とか何かを伝えたいんだ!という気持ちもないし」(ゴーキー)
「とにかく楽しんでもらえればいいんだ。もちろん、明日のライブでもね」(ペドロ)
翌日、猛暑のなか開催されたサマーソニックでは、ボンヂは多くのオーディエンスを笑顔で踊らせ続けた。さすがサンバの国・ブラジルの出身とあって、メンバーはたこ焼きとカニのかぶりものをつけて登場。DJはスカスカなビートをかけっぱなしの状況のままにして、3人でラップ&ボーカルするというステージに腰くだけになりながらも、「次の曲はウナギ丼についての曲だよ」というゴーキーの呼びかけに、熱気を帯びた会場は疑問も持たずに「イェーイ!」とさらにヒートアップ。記者を含め、完全にボンヂのペースに乗せられたのだった。
ボンヂは、格闘家のヴァンダレイ・シウバと同郷だという。シウバに続き、彼らがブラジリアン・ドリームをつかむ日もそう遠くなさそうだ。
(本紙・酒井紫野)
Bonde Do Role are...
DJのゴーキー、ともにボーカルとラップを担当するマリナ、ペドロの3人組。2004年にブラジル・クリチバ市で結成したバイリファンキグループ。2006年にM.I.A.をスターダムに押し上げたディプロのレーベル「マッド・ディーセント」と契約を交わすと、フランツ・フェルディナンドやアークティックモンキーズを輩出し現在英国でもっともパワフルなインディペンデントレーベル「ドミノ」からデビューアルバム『Bonde Do Role With Lasers』をリリースした。
|