
vol.320
小泉前首相靖国参拝 安倍首相は参拝せず
安倍晋三首相は15日、靖国神社参拝を見送った。安倍内閣の全閣僚16人のうち、参拝したのは高市早苗沖縄担当相だけだった。小泉純一郎前首相も昨年に引き続き参拝した。
安倍首相は都内の千鳥ケ淵戦没者墓苑を訪れ、献花した。官房副長官、自民党幹事長時代には毎年、終戦記念日に参拝していただけに、党内外には「安倍さんらしくない」(島村宜伸元農水相)との失望感が広がった。首相は15日、記者団に、在任中は参拝の有無を明言しない考えを改めて強調した。
午後に参拝した高市氏は記者団に、「たった一つのかけがえのない命をささげられた方々に対する感謝と、御霊(みたま)が安らかであるようにという祈りをささげた」と語った。参拝に先立つ記者会見では「閣僚が靖国神社に行くことを外交問題にしてしまう勢力があることを残念に思う」と強調した。
昨年は小泉氏が現職首相として21年ぶりに終戦記念日に参拝した。小泉氏は15日午前、昨年と同様に本殿に上がる「昇殿参拝」を行った。高市氏も同様の形式を取った。
高市氏の参拝について安倍首相は記者団に「高市氏の判断だ。閣僚であっても参拝の自由はある」と述べた。首相自身は全国戦没者追悼式に参列した後は、首相官邸に戻り執務をこなした。
一方、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長・島村宜伸元農水相)のメンバー46人は午前に集団参拝。内訳は自民党41人、民主党4人、無所属1人で、平沢勝栄内閣府副大臣、山谷えり子首相補佐官も参加した。
またこれとは別に、自民党の古賀誠元幹事長や逢沢一郎衆院議員、首相の実弟である岸信夫参院議員らも参拝。日本遺族会会長の古賀氏は参拝後、「すべての国民がわだかまりなく、心静かにお参りできる靖国神社であってほしい」と語り、いわゆるA級戦犯の分祀を目指す考えを示した。
15日に開かれた全国戦没者追悼式では、衆参両院議長から、先の大戦における日本の加害責任を強調する発言が相次いだ。
河野洋平衆院議長は「日本軍の一部による非人道的な行為によって人権を侵害され、今もなお苦しんでいる方々に、心からなる謝罪とお見舞いの気持ちを申しあげたい」と述べた。慰安婦問題が念頭にあるとみられる。また、「(私たちは)海外での武力行使を自ら禁じた、日本国憲法に象徴される新しいレジームを選択し今日まで歩んできた」と指摘した。「
一方、江田五月参院議長は「先の大戦では、わが国の侵略行為と植民地支配により、アジア諸国をはじめとする多くの人々に多大な苦しみを与えた」とあいさつした。