
vol.320
イラクでもテロ 戦争後最悪規模の犠牲者
イラク北部のシリア国境に近いシンジャル近郊で14日夜、少数宗派ヤジーディー教徒を狙った同時自爆テロがあり、AP通信によると、少なくとも200人が死亡、300人以上が負傷し、イラク戦争後、最悪規模の犠牲者を出した。
現場は、イラク第3の都市モスルの西約120キロにあるカハタニーヤ村で、爆発物を満載した4台の燃料トラックがバス停など村中心部でほぼ同時に爆発。さらに近くの住宅地アルジャジーラ地区でも別の1台が爆発したという。爆発で家屋約70軒が倒壊した。
この地域は、少数宗派ヤジーディー教徒が居住しており、AP通信によると、国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織「イラク・イスラム国」はこの前週、「ヤジーディー派は反イスラムだ」として、攻撃を予告するビラをまいていたという。ヤジーディー派は、イラク北部を中心に国境をはさんでシリア北東部などに分布。イラクには約10万人がおり、民族的にはクルド人が多いとされる。一応、イスラム教シーア派に分類されるが、キリスト教やイスラム教、ゾロアスター教などの教義が混交し、スンニ派などイスラム教主流派は「悪魔信仰」などとして異端視してきた。
イラクでの連続自爆テロは、イラク情勢に関する最終報告の公表を9月に控えたブッシュ米政権に新たな難題を突きつけた。ケーシー米陸軍参謀総長は14日、延長措置をとっているイラク駐留米軍の駐留期間について、「いつ通常に戻せるか分からない」と述べており、治安好転の見通しが最終報告で示せない場合、イラク政策をめぐる政権批判が米国内で高まることは避けられない情勢となった。
連続自爆テロを受けて、ホワイトハウスのペリーノ副報道官は14日、大統領静養先のテキサス州で記者団に対し、「罪のない市民に対する野蛮な攻撃を非難する」と発言。イスラム原理主義勢力によるテロ目的として、「イラクが安定し、安全な国となることを妨げる力を誇示しようとしている」と語った。テロ発生の直前、ワシントン市内で講演したケーシー参謀総長は、ブッシュ政権の兵力増派政策の効果を強調し、「わが将兵は治安の最前線で進展を実感している」と述べたばかりだった。