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ヘアメイク:保田かずみ スタイリスト:岡部美穂 写真:加藤大毅
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vol.323
INTERVIEW
『壁男』主演
堺雅人
役どころによってまったく違うイメージを持ち、一見とらえどころが無いかのように見えながら、どんな作品の中にあっても存在感を放つ(ときには主人公以上に…)。その仕事ぶりは舞台通、映画通からも認められる一方、大河ドラマ『新選組!』の新選組総長山南敬助を演じた際には世の女子たちの熱狂をあおった。主演映画『壁男』をはじめ『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』など注目出演作が続く“今、気になるオトコ”堺雅人にインタビュー!!
「私の映画には、いつもどこかに希望があるんだ」
初めに最近気に入っていることなどのフランクな質問しても…?と尋ねると「では、フランクな格好を。…あっ、そうじゃないですね」。取材冒頭から癒し系オーラ全開…!
「実は僕、仕事以外であまり語ることがないんですよ(笑)。完全にオフの日があると、ご飯を食べて本を読んで寝て…みたいな感じなので。喫茶店に行って本を読んで帰りに夕食の材料を買って家で作って食べて寝る、というのが、僕の理想の休日なんです(笑)。まあ、撮影期間中だとそんな休みの日でも必ず台本のことが頭にあるし、台本も常に持ち歩いているんですけどね」
ちなみに最近作った料理とは…?
「先日はゴボウサラダを作りました。ゴボウをささがけしてレンジでチンしてマヨネーズで和えて七味をかけただけ。ささがけはピーラーでね。簡単ですよ(笑)」
俳優という職業の一方で、ごく自然に日常生活を楽しんでいる様子。
「楽しんでいるというか…そこはないがしろにしたくないな、と思っているんです。こういう仕事(俳優業)をしていると何かと不規則だし、浮世離れをしようと思えばいくらでもできてしまう。逆に料理を作って食べたり、掃除や洗濯したり、特に好きというわけではないし上手でもないんですけど、そこを手を抜いてしまうと、俳優としての姿勢にも何かしら影響が出てしまうような気もして…。といっても、明日からまったくしなくなるかもしれませんけどね(笑)。でもこういうことって、僕にとってけっこう大事なことなんです」
最新主演作は、諸星大二郎原作の『壁男』。壁の中に住む男がいる、という都市伝説に、取りつかれたようにその存在を追うカメラマン・仁科という役どころ。
「スタッフや俳優は、僕と小野真弓さん以外はほとんど北海道出身者で、ロケ地も北海道。北海道の人がその土地の雰囲気を生かしながら映画を作るということにまず興味を感じたので、出演してみたいと思いました」
ときにはネガティブに感じる作品をオファーされることもあるのでは?
「仮に、ある脚本を読んでまったく面白さを見出せなかったとしても、僕はやりますね。というのは何が面白くて、何が面白くないかは、やってみないと分からないことが多い。僕の場合、特にそんなことが多くて、僕は自分の“面白いかどうか”を判断する能力に自分でまったく信用を置いてないんです。そういう感覚が著しく鈍いみたいで(笑)」
作品の規模や役の内容、格付けなどを気にする俳優は少なくない。
「あまりこだわらないという性格もあるのかも。先日のゴボウも安かったから買っただけだし(笑)」
今回の撮影では、ロケ地の札幌で実際に数日間暮らしたとか。
「ウィークリーマンションを借りて、そこで東京と変わらないような毎日を送っていました。撮影が休みの日は、近所の喫茶店に行って本を読んで、帰りにスーパーに寄ってジャガイモを買ってきてポテトサラダを作って食べて寝る、みたいな(笑)。札幌を舞台にした映画、ということもあり“札幌人ごっこ”を楽しんでいたんです。だからカメラが回っていないところでも“ごっこ”は続いていた。その部分も含め、僕にとっては『壁男』の撮影だったんです」。
寒々とした雪の街。仁科の不可思議な表情がまた、幻想を誘う。
「今回は何かを考えているような表情の演技が多かったので、毎回そういう場面では実際に何かを考えてみよう、と思ってみたんです。…演技力を上げるための課題というより、趣味的な実験というほどのことですけど(笑)。なので何かは考えてました…何を考えていたかは忘れましたけど(笑)。内省をしていたか、昔のことを思い出していたか、今日は何を作ろうか、かも(笑)」
実はホラーは得意ではない、とか。
「僕は怖がりというか…お金を払ってなんで怖い思いをしなきゃいけないんだろ、と(笑)。でもこの映画は、ホラー映画が苦手な人でも見ることができると思うんです。ミステリーやホラーというより、1つの寓話のように思います。壁というものの存在にしても、見る人それぞれでいろんなとらえ方ができるだろうし。日常生活とは関係ない世界が、どこかに広がっているかも…という思いはほとんどの人が感じたことがあるのではないでしょうか」
ミステリアスな“壁”の世界に足を踏み入れてみてはいかが。
(本紙・秋吉布由子)